デラウェア州衡平法裁判所は2024年1月、現在1390億ドル相当のストックオプション付与の過程が株主にとって公正ではないと判断していた。
史上初めて資産6000億ドルを超えてからわずか4日後、イーロン・マスクは米国時間12月19日に、史上初の資産7000億ドル（約110兆円）超えの富豪となった。これはデラウェア州の最高裁が、現在1390億ドル相当のテスラのストックオプションをマスクに付与した決定を無効とした下級審の判決を覆したことによるものだ。フォーブスの推計によると、マスクは上訴に成功し、現在の資産は過去最高の7490億ドルに達している。
フォーブスは2024年1月以降、問題となっていたテスラのストックオプションの価値を50％割り引いて評価してきた。これはデラウェア州衡平法裁判所が、2018年にマスクにストックオプションを付与するプロセスが、マスクのテスラ取締役会に対する支配力を理由に不公正だったと判断したためだ。デラウェア州最高裁が金曜日に「（ストックオプションの）取り消しは不適切な救済措置だった」と判断したことを受け、フォーブスはこの割引を撤廃し、マスクの純資産の推定額を695億ドル引き上げた。
この判決により、テスラは再びマスクの最も価値のある資産となった。ストックオプションに加え、彼はEVメーカーの普通株式の12％も所有しており、その価値は1990億ドルに達し、テスラ株の保有総額は3380億ドルとなっている。さらに、テスラが11月にマスクに付与した別の過去最大規模の報酬パッケージも含まれていない。このパッケージでは、テスラが今後10年間で時価総額を8倍以上に成長させるなどの「火星級」の業績目標を達成した場合、最大1兆ドル相当の追加株式（税金や制限付き株式の解除コスト控除前）を獲得できる可能性がある。
マスクにとって2番目に価値のある資産であるSpaceXの推定42％の持分は、現在テスラ株の保有額より20億ドル少ない（推定3360億ドル）。これは、今月開始された非公開入札に基づくもので、マスクのロケット企業の評価額は8月の4000億ドルから8000億ドルに上昇した。それでも、世界初の資産1兆ドル富豪の座をマスクにもたらすのは、テスラではなくSpaceXかもしれない。このロケット企業は2026年に株式公開を目指しており、その際の企業価値は約1.5兆ドルになる可能性があるとされている。
マスクがその節目を達成するには、ラリー・ペイジ1人分の資産が必要だ。グーグル共同創業者で世界で2番目に裕福な人物であるペイジの資産は推定2530億ドルであり、マスクより驚異的な5000億ドル少ない。
