TWZが報じているように、米中央軍が公開したLUCASには2種類あるようだ。ひとつは基本的な、標準仕様のタイプとみられ、おそらく衛星で誘導される。もうひとつは機首にカメラ、後部に衛星通信リンクを備えているらしく、人間の操縦士による制御が可能であることが示唆される。これらは、イランで設計されたオリジナルのシャヘドがロシアで改良された流れと対応している。高性能型は3万5000ドルの基本型よりも高価な可能性があり、その分、調達数も少なくなるかもしれない。
それでも、850機という数はまずまずのスタートだろう。たとえば、米海軍が来年購入するトマホーク巡航ミサイルがわずか40発にとどまることを考えればなおさらだ。
国防総省はX(旧ツイッター)で「ドローン優勢はこれから来るものではない。すでにここにある」と主張している。
だが、ロシアは先月だけで5400機超のシャヘド型ドローンを発射しており、その生産数も着実に増やしている。控えめに見積もっても、ロシアの生産規模は米国の10倍に達する。
ロシアのシャヘド型ドローンは実戦で鍛えられており、破片効果弾や、建物破壊用のサーモバリック弾、ナパーム系の液体焼夷弾など、さまざまな弾頭を備える。なかには、弾頭以外の「追加物」を搭載し、飛行経路に沿ってクラスター弾や対戦車地雷を散布するものさえある。こうした破壊力を可能にしているのはシャヘドの重量物搭載能力だが、LUCASにはそれが欠けている。
「量」の必要性
わたしたちは7月時点で、LUCASドローンの目的は、大統領の要求に応えているように見せることにあるのではないかと問いかけていた。大統領が3万5000ドルの攻撃ドローンを求め、それに対して3万5000ドルの攻撃ドローンが用意された。だが、スコーピオン・ストライク部隊は、プレスリリース用の「見せかけ」以上の存在でなければならない。
ユマでの試験がまだ進行中であることを踏まえれば、LUCASを中東に配備したという発表は時期尚早だったように思える。一方で、潜在的な敵対勢力の能力に対抗すべく、低コストのドローンの大量生産・配備に注力することは、非常に大きく重要な方針転換を意味する。しかし、それは実際の物量で裏づける必要がある。
国防総省は小型の片道攻撃ドローンに10億ドル(約1560億円)を投じているが、LUCASのような能力に対しても同規模の投資が求められる。米国は低コストの攻撃ドローン、それも実弾頭を搭載したドローンを大量に必要としているのだ。


