つまり、試験に使用されているルーカスはダミー弾頭だということだ。だとすれば、米中央軍のプレスリリースではLUCASは配備済みとされているものの、公開された機体はあくまで広報や示威など「展示」目的だったと推測される。スコーピオン・ストライク部隊が攻撃を実行できる態勢になるまでには、まだ相当な時間がかかるように思える。
たしかに、当座しのぎに何らかのLUCAS用弾頭が用意されている可能性はある。実際、ウクライナとロシアはこの種の即席対応を常にやっている(ウクライナのフラミンゴ巡航ミサイルの弾頭もFAB-1000航空爆弾を転用したものらしい)。だが裏を返せば、差し迫った必要性でもない限り、そのような二重の手間がかかることをするとは考えにくい。
Seems Flamingo's warhead is a modified FAB-1000 general purpose bomb. Ukraine likely has 10,000s leftover from Soviet aviation depots
— John Ridge 🇺🇸 🇺🇦 🇹🇼 (@John_A_Ridge) August 21, 2025
The airframe appears to be carbon composite. A somewhat crude missile but it should be very impactful if manufactured at the claimed scale. https://t.co/HdTlUoG2sR pic.twitter.com/qoFbDy1r8x
模倣したのは小型版シャヘドか
現状のLUCASは、米スペクターワークス(SpektreWorks)製のFLM136ドローンに似ている。FLM136はイランのシャヘドの忠実なコピー製品と説明されており、信頼性が高く費用対効果にも優れた脅威エミュレーター(模倣品)として売り出されている。しかし、米メディアのビジネスインサイダーによると、ペンタゴンの中庭に展示された類似のドローンはFLM136ではなく「FLM131」と説明されていた。
これは、LUCASがシャヘド136(ロシアは「ゲラニ-2」としてリブランドした)のコピーではなく、その小型版のシャヘド131(ロシア版は「ゲラニ-1」)のコピーである可能性を示唆する。シャヘド131/ゲラニ-1はウクライナではめったに見られず、より大型のシャヘド136/ゲラニ-2が圧倒的に多く使用されている。
FLM136の仕様からも、このドローンはむしろシャヘド131に近いことがうかがえる。シャヘド136が航続距離1600km超、弾頭重量90kg(編集注:ゲラニ-2用にロシアが開発した大型弾頭の場合。イラン設計のシャヘド136で標準だったとみられる通常弾頭の重量は50kg)なのに対して、シャヘド131は航続距離約800km、弾頭重量約18kgとなっている。一方、スペクターワークスのデータシートには、FLM136の航続距離は約650km、弾頭重量は18kgと記載されており、シャヘド131のほうに近い。


