物価高騰や慢性的な人手不足、さらにはコロナ禍での支援策である「ゼロゼロ融資」の返済本格化。日本企業を取り巻く経営環境は、かつてない厳しさに直面している。リスクモンスターが発表した「2025年 倒産動向レポート」によれば、2025年の倒産件数は過去10年間で最悪のペースを記録。企業の「限界」を浮き彫りにする結果となった。
2025年(2024年12月~2025年11月集計)の国内法人における倒産件数は、前年比4.8%増の7898件。これは直近10年間で最多の数字であり、コロナ禍のセーフティネット政策で抑制されていた倒産が、一気に噴出した格好だ。

業種別の動向を見てみると、「運輸業、郵便業」の倒産件数は282件と前年から47件減少し、全業種の中で最も大きな改善を見せた。背景にあるのは、燃料価格高騰に対する運賃転嫁の浸透。加えて、2024年4月や2025年6月の法改正を通じた労働環境の整備や適正料金の設定が進んだことで、業界全体の経営環境に改善の兆しが見え始めている。

一方で、「製造業」や「建設業」は依然として高止まりしている。資材価格の変動や人手不足による工期遅延が直撃し、資金繰りを悪化させる構造的課題を抱えている。
地域別の分析では、国内9地域のうち5地域で前年を上回る結果となった。件数で見れば「関東」が前年比149件増、「関西」が121件増と都市圏での増加が目立つが、増加率では「北陸」が前年比118.6%と際立っている。地域経済の脆弱性が、全国的な経済変動の影響をより強く受けている状況だ。




