小川:他方、SAFは通常の燃料の3から5倍のコストがかかる。すべてのコストを自社のみでまかなうのは難しい。価格が高止まりするようであれば、SAFにおける環境価値の一部をお客様にご負担いただくことも検討せざるをえないかもしれない。
法人企業の賛同や参画も不可欠だ。当社では24年から、SAFによって創出したCO2排出量削減の環境価値を証書化し、有償で提供する「JAL Corporate SAF Program」を実施している。証書は第三者機関の認証を受けたものとして発行するため、統合報告書などに反映できる。法人企業には前向きにジョインしてもらいたい。
──JALは25年9月に、ビル・ゲイツなど複数の個人投資家が設立した「Breakthrough Energy Ventures」が手がける投資ファンド「oneworld BEV Fund」に、ワンワールドアライアンスメンバーの航空会社やパートナー企業と共同出資すると発表した。
小川:SAFの供給面や価格面の課題を解決するためには、SAF技術の開発や製造、利用の促進などが急務だ。しかし、現状ではSAF関連のスタートアップや製造事業者に十分な投資がなされているとは言いがたい。今回の投資ファンドを通じて革新性とコスト競争力を兼ね備えたSAFの製造技術をもつスタートアップに投資し、次世代SAFの開発を加速させるとともに、安定的なサプライチェーンの構築を目指す。
小川宣子◎1993年入社。国際路線事業や法人販売などに携わったのち、2019年よりサステナビリティ関連業務に従事。22年からはESG推進部長としてJALグループのESG戦略を推進。25年2月より現職。


