もうひとつは、セルフ・コンパッションが心理的欲求を満たして孤独感を和らげるのに加え、直接的にも孤独感の緩和に作用することだ。セルフ・コンパッションによって自分への過度な批判が減ると、他人に心を開きやすくなるという「別の心理的メカニズム」の働きが示唆された。

これらの発見は、セルフ・コンパッションという内面的な心理的資源が、具体的な生活習慣や社会とのつながり(不眠と孤独感)を改善する動機づけ経路を、「自己決定理論という科学的な視点」から明確にしたと研究グループは話す。これにより、生活習慣の改善が心の健康を支えるという「ライフスタイル精神医学」において、患者への介入の焦点をより正確に定めることが可能になるとのことだ。
また、セルフ・コンパッションは誰もが内面に持っている「心理的資源」であり、これを活用する技法、たとえば「自分を思いやるイメージ法」などにより、睡眠の質の向上や社会的孤立の解消に大きな効果が期待されるという。
自分を思いやることは、自分を甘やかすことだと抵抗を覚える人もいるかもしれない。しかし、子どもも部下も、叱ってばかりでは精神的に追い詰めてしまう。愛情を持って認める気持ちが根底になければ、いずれは離れていってしまう。自分自身も同じことだ。だが、自分は自分からは逃げられないから困る。大いにいたわってやろう。


