ロサンゼルス市警のジム・マクドネル署長は米国時間12月15日、俳優で映画監督のロブ・ライナーとミシェル・シンガー・ライナーの息子であるニック・ライナーが、殺人の疑いで身柄を拘束されたと発表した。両親のライナー夫妻は自宅で死亡しているのが発見されていた。
ロサンゼルス郡がオンラインで公表した拘置記録によると、ニック・ライナーは14日夜遅くに逮捕され、保釈金400万ドル(約6億2000万円)で拘束されている(米国版記事掲載時には「保釈なし」と記載された)。
マクドネル署長は15日朝の記者会見で、ニック・ライナーが「殺人容疑で正式に収監手続きが行われた」と発表し、彼が本捜査における容疑者であると述べた。また、死亡した人物がロブ・ライナーとミシェル・シンガー・ライナーであることも確認した。
ABCニュースは、匿名の法執行機関幹部の情報として、ライナー夫妻が刺殺されたと報じていた。また、NBCニュースは、ライナー家に近い情報源を引用し、夫妻が刺し傷によって死亡したと伝えた。
ロサンゼルス・タイムズは、捜査に近い情報源の話として、ライナー家の自宅に不法侵入の形跡はなかったと報じた。また、3人いる子どものうちの1人が遺体を発見したという。
警察によると、現地時間14日午後3時40分、カリフォルニア州ブレントウッドにある自宅に警察とロサンゼルス消防局が出動し、2人の死亡が確認された。この内容は14日夜の記者会見で明らかにされた。
警察は同じ記者会見で、14日夜の時点で、ブレントウッドの自宅を調査するための捜索令状を求めていたことも明らかにした。
ロブ・ライナーとミシェル・シンガー・ライナーには、ジェイク、ニック、ロミーの3人の子どもがいる。また、ロブ・ライナーは、元配偶者の故ペニー・マーシャルが生んだ女優トレイシー・ライナーの養父でもあった。
ニック・ライナーは、薬物依存やホームレス状態と闘ってきた経歴があり、その経験は父ロブ・ライナーが2015年に製作したドラマ『ビーイング・チャーリー』の着想源となった。ニックは同作の共同脚本家としてクレジットされている。この映画は、映画スターから政治家に転身した父親が、18歳の依存症の息子を更生施設に入れようとする物語である。ロブ・ライナーは、作品に描かれた緊張関係が、実際にライナー家が経験したものと重なっていたと語っている。
ロブ・ライナーは、トロント国際映画祭で行われた同作のプレミア上映後、ロサンゼルス・タイムズに対し次のように述べている。
「ニックが、あの[更生施設]は自分には合わないと言っても、私たちは耳を貸しませんでした。必死だったし、壁に卒業証書を掲げている人たち(専門家)の言うことを、息子の声よりも信じてしまったのです」。
ニック・ライナーは2016年、ピープル誌に対し、両親が勧める薬物回復プログラムに参加しなければ「ホームレスになるしかなかった」と語り、「そこには多くの暗い年月があった」と振り返っている。



