2025年10月25日発売のForbes JAPAN12月号第一特集は、「新いい会社ランキング2025」特集。上場企業を対象にした毎年恒例の大企業特集では、今年は「ステークホルダー資本主義ランキング」と、新たに「ESGフィット度ランキング」の2つを掲載している。ステークホルダー資本主義ランキングは、「地球(自然資本)」「従業員」「サプライヤー・地域」「株主」「顧客・消費者」の5つのカテゴリーで解析。ESGフィット度ランキングでは、サステナビリティ情報開示の義務化が進むなか、ESGの取り組みを自社の「稼ぐ力」につなげている企業を導き出した。同号では2つのランキング、IPOランキング上位の11企業の経営者インタビューを一挙掲載している。
2025年10月に横浜フィナンシャルグループへと社名を変更し、地域色を鮮明に打ち出した。 中堅・中小企業の脱炭素への取り組みや自然資本の保全を支援し、地域経済の持続的な成長を支える。
少子高齢化や人口減少、さらには気候変動といった社会課題が複雑に絡み合い、日本の地方を取り巻く経済環境は厳しさを増している。こうした変化を受けて、地方銀行には預金や融資といった従来の役割を超えた、地域社会の課題解決への積極的なかかわりが求められている。
「地域経済の成長なくして地銀の成長はありません。地域を強くすることは地銀の役割です」。開口一番、横浜フィナンシャルグループ(以下、横浜FG)社長の片岡達也はこう断言した。
横浜FGは、横浜銀行と東日本銀行の経営統合で2016年に誕生した金融グループだ。23年には横浜銀行が神奈川銀行を子会社化し、25年には三井住友トラスト・ローン&ファイナンス(現・L&Fアセットファイナンス)を買収。神奈川と東京を中心に存在感を高めている。
横浜FGが近年力を入れているのが、中堅・中小企業のESGの取り組みへの支援だ。19年度から24年度までに累計3兆円のサステナブルファイナンスを実行。
「30年度までに実行額4兆円」(うち環境分野2兆円)を目標に掲げ、顧客の脱炭素化や社会課題解決に資する事業を財務の面から支援する。セミナーなどを通じた脱炭素の啓蒙活動や、GHG(温室効果ガス)の排出量を可視化するプラットフォームの導入支援など、財務面以外のサポートも積極的に行っている。
地域の自然資本の保全にも取り組む。横浜FGの中核である横浜銀行は25年6月、神奈川県真鶴町や横浜国立大学、同大学発のNPO法人ディスカバーブルーと生物多様性保全に関する連携協定を結んだ。産官学の連携を通じて海洋環境の調査や普及啓発を行うという。
「自然資本が崩れてしまえば、農業や漁業などの地場産業が立ち行かなくなる。20年後、30年後の街の姿をイメージしながら地域社会の成長を継続的にお手伝いすることは、我々の重要な役割のひとつだと思っています」
「やり抜く」ことで運を引き寄せる
横浜FGは、地域企業の持続的成長支援をマテリアリティのひとつに掲げる。これにはESGの推進のほか、資本戦略や事業承継、M&Aなど、経営戦略に直結するソリューションの提供が含まれる。
27年度には、ソリューションビジネスの収益額を行員1人あたり1.5億円に増やすことが目標だ。
目標達成に欠かせないのが人的資本だ。片岡は、若手の行員が成功体験を積むためにやるべきことはふたつあるという。



