ツイッターのデイック・コストロがCEOを退任以来、100日以上が経過した。それ以来、彼のツイートにはジムで体を鍛えたり、ピザを作ったり、ミツバチの養殖にチャレンジする姿などが投稿されている。
コストロの後任者探しが三ヶ月を超えた今、出資者の中にはしびれを切らし始めた者たちもいる。9月21日、SunTrust社のアナリスト、ロバート・ペックは「彼らは時間をかけ過ぎている」というノートを公開した。
「ツイッター社の前CEOの辞任から100日が過ぎてしまったことに、我々は呆然とせざるを得ない。投資家からは多くの不満の声が漏れている」
ペックが危惧するのは、長引く後任者探しの中でツイッター社から人材が流出していることや、広告出稿主からの信頼の低下だ。収益の多くを広告に依存するツイッターにとって、マーケッターの信頼の低下や、イノベーションを生む人材の流出は大きな問題だ。
ペックは、彼らがなぜここまで後任選びに手こずっているのかにもふれている。有力な候補が居ないわけではないのだ。それは、7月以来、暫定CEOとして会社を切り盛りしているジャック・ドーシーだ。
だだし、ドーシーのツイッターCEOへの就任には難関がある。ドーシーは企業価値60億ドル(約7200億円)と言われる決済会社、スクエアのCEOを務めており、報道ではスクエアは今年中に新規株式上場を予定。ドーシーはスクエア社を去る意向は無いとかつて言明した。
しかし、一人の人物が二つの公開企業のトップを務める事例は、まれではあるが前例が無い訳ではない。スティーブ・ジョブズはかつて、アップルとピクサーの代表を兼任した時期があった。ジョブズは2000年からピクサーの代表を兼任し、それは2006年に同社がディズニーに買収されるまで続いた。
SunTrust社のペックはジャック・ドーシーのCEO就任に関して、次のような利点を挙げている。
・ドーシー氏はリーダーとしてツイッター社の内外から尊敬を集めている。
・7月から暫定CEOを務める中で、彼は迅速に新たな製品をリリースした実績がある(コマース機能の導入やニュース記事配信等)
・ツイッター社の上層部にも「彼となら仕事をしたい」と述べる人物が多数いる。
・ドーシー氏のCEO就任は出資者たちからも好意的に受け止められる。
ドーシー氏を新CEOに推薦するのはSunTrust社が初めてでは無い。先月の時点でツイッター社を創業時から支援した投資家、クリス・サッカ氏は次のようにツイートしていた。
「多くの投資家やアナリスト、ユーザー、メディアパートナーの意向を考えて、適任者が誰かは既にはっきりとしている」
「ツイッターはドーシーをフルタイムのCEOに任命すべきだ。そして、アダム・ベインを社長兼COOに。エヴァン・ウィリアムズを経営執行役会長にするべきだ」
6月11日にデイック・コストロのCEO辞任がアナウンスされて以来、ツイッターの株価は20%近くも下落している。このところの株式市場全体は荒い値動きが続いているが、テクノロジー株が中心のナスダックの総合指数は、5%の低下にとどまっている。
ツイッターの株価は今週月曜(9月21日)に27.90ドルで始まり、2013年11月のIPO当時の26ドルを、わずかに上回る株価で推移している。SunTrust社は同社の対応に不満を示しつつも、ツイッター株を買い推奨銘柄とし、目標株価を38ドルとしている。