数々の記録的ヒットを世に送り出した映画監督ジェームズ・キャメロンは、『アバター』シリーズ第3作の興行収入20億ドル(約3100億円。1ドル=155円換算)突破が期待される中、ハリウッドでごく一握りのビリオネアの仲間入りを果たした。
『アバター』シリーズ最新作への期待を背景に、映画興収だけでビリオネアに
12月8日のハリウッドで大きな話題となった出来事の1つが、2025年のゴールデングローブ賞で『アバター:ファイア・アンド・アッシュ』が主要部門にノミネートされなかったことだ。ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの買収をめぐる動きに注目が集まる中で起きたこのニュースは、業界関係者の間でも意外な出来事として受け止められた。もっとも、歴代興行収入ランキング上位3作品のうち2本を占める『アバター』シリーズの最新作は、2025年最大級のヒットとなり、興行収入20億ドル(約3100億円)超が見込まれている。こうした評価を背景に、作品は19日の公開を前に「興行成績賞」部門にノミネートされた。
それほどまでに、『アバター:ファイア・アンド・アッシュ』を手がけたキャメロンへの期待は大きい。現在71歳の彼は、40年以上にわたるキャリアを通じて、常に巨額の製作費を投じる大胆な企画に挑み続けてきた。その作品は、常に空前の成功を収めることを前提に扱われ、並外れた興行成績を求められてきた。1980年代の『ターミネーター』や『エイリアン2』に始まり、『タイタニック』、そして『アバター』『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の2作に至るまで、キャメロンが手がけた映画の世界興行収入は累計約90億ドル(約1.4兆円)に達する。フォーブスは、これら映画からの収入が大半を占めるキャメロンの個人資産が現在11億ドル(約1700億円)に達したと推定している。
これを受け、キャメロンはビリオネアの映画監督として、ジョージ・ルーカス、スティーブン・スピルバーグ、ピーター・ジャクソン、タイラー・ペリーなどのごく限られた顔ぶれの一角を占めることになった。しかも、他の監督たちがハリウッドの枠を超えた大型契約や多角的な事業収入を持つのに対し、キャメロンはほぼ映画の興行収入だけでこの水準に達している。もっとも、本人は自身の資産について語ることを避けており、本稿へのコメント要請にも、代理人を通じて応じなかった。
「本当にビリオネアだったらいいと思うことはある」とキャメロンは最近、エンタメ業界メディアPuckのマット・ベローニが配信するポッドキャストで語っていた。「ビリオネアだという見方は、実際には存在しなかった契約を前提にしているうえ、私がこの30年間、稼いだ金をまったく使わずにきたかのような計算に基づいている」。
キャメロンはこれまで、大規模な深海探査や自然保護分野での慈善活動、不動産取引に多額の資金を投じてきた。映画製作の主導権を維持するため、自身の報酬を犠牲にしたり、受け取らないリスクを引き受けてきた経歴もある。フォーブスはそれでもなお、映画の興行収入に連動した取り分、テーマパークや玩具向けのライセンス収入、そして自身の制作会社ライトストーム・エンターテインメントの持ち分の価値を合算すれば、そうした支出や損失は十分に補われているとみている。
新作の興行収入が予測通りなら、さらに約310億円を手にする見通し
しかも、今後数カ月でキャメロンの資産は増える見通しだ。フォーブスは、『アバター:ファイア・アンド・アッシュ』の興収が予想通りの水準に達した場合、彼はこの映画から税金や手数料の差し引き前で少なくとも2億ドル(約310億円)を手にする可能性があると推定している。



