アンリミテッドの初期顧客には、新興のエネルギー系テクノロジー企業や既存の大手企業が含まれる。これらの企業に共通するのは、プロジェクトのスピードが最重要課題であり、従来の建設業者では対応できない迅速さでプロジェクトを進める必要があることだ。例えば、データセンター開発で着工が6~9ヵ月遅れると、収益や市場シェア、電力容量を失い、その損失を取り戻せない可能性もある。エネルギー企業やデータセンター開発者のニッチな課題に可能な限り迅速に対応できるチームとマッチングさせることの重要性を踏まえ、アンドリーセン・ホロウィッツはAIスタートアップのエコシステム育成の一環としてアンリミテッドへの出資を決めたと言える。
アンリミテッドは現在、鉱業、電力、データインフラの分野で複数のプロジェクトを手掛けている。これらの総額は2億5千万~5億ドル(約389億~約779億円)にのぼる。同社の取り分は固定価格契約として設定されているため、従来の煩雑な変更手続きや再見積もりによる遅延を回避できる。モドンは、特に変更手続きの排除が重要だと強調する。「変更は常に発生する。しかし、顧客が学ぶ過程で契約によって不利益を受けるべきではない。改善は自然なプロセスであり、収益を目的に行うものではない」と彼は話す。
アンドリーセン・ホロウィッツのゼネラルパートナー、キャサリン・ボイルは次のように述べた。「建設業界は数十年間ほとんど変わっていない。アンリミテッドの垂直統合型かつAIファーストのアプローチは大きな転換をもたらし、設計と建設を迅速かつ継続的に最適化するプロセスへと変える。これはまさに、米国が大規模かつ野心的なインフラ建設力を取り戻す上で不可欠な革新だ」。
アンリミテッドは、現状7名のチームを今後3~6ヵ月で2~3倍に拡大する計画だ。新規採用の大半は、社内AIツールを駆使して、機械・電気・土木・プロセスシステムを横断的に扱えるマルチディシプリン型エンジニアとなる見込みだ。チームはサンフランシスコに集中しているが、建設作業は工期が確実に達成可能な地域で行われ、現在はテキサス州に重点を置いている。
モドンの目標は、産業分野を支配する既存のエンジニアリング・建設企業と競合できるだけのキャパシティと製品の成熟度を備えることだ。彼は、単なる漸進的なツールでは状況を変えられないと考えている。「壊れたインセンティブ構造に、より優れたソフトウェアを提供しようとしているわけではない。我々が目指しているのは、建設のやり方に新しいアプローチがあることを示すことだ」と彼は語った。

