今月の北半球では、夜を迎えて2~3時間ほどしてから東の方角を眺めると、他の星々を凌ぐほどまばゆい一点の光が見えるだろう。それは木星だ。来年1月上旬に最も明るく輝く「衝(しょう)」を迎える木星は、毎夜少しずつ昇る時間が早まってゆく。そして月末には、イエス・キリスト降誕の物語に登場する「ベツレヘムの星」になぞらえられるほどの存在感を示す。
木星は現在ふたご座に位置し、マイナス2.6等の輝きを放っている。これは木星の光度としては最大級に近く、夜空のどの星よりも見るからに明るい。
本州では午後7時半~8時頃に東北東の地平線から昇ってきて、東~南東の空高く君臨する。午後9時頃には一目で視認できるはずだ。木星の近くには、ふたご座の兄弟星として知られる2等星カストルと1等星ポルックスが2つ並んで輝いている。
キリスト生誕時に空に現れたとされる明るい星の伝説は、新約聖書「マタイによる福音書」2章1〜12節に記されている。この星は3人の賢者(東方の三博士)をキリストの元へと導き、彼らは黄金、乳香、没薬をキリストに捧げた。この出来事を記念して、キリスト教では1月6日に公現祭を祝う。
今年のクリスマス、木星が特に明るいのはなぜ?
今月の木星はとりわけ明るく光っているように見えるが、それは惑星そのものの光度が変化したからではない。地球の公転速度が木星よりずっと速いため、両惑星間の距離が変化していることが主な原因だ。英ノーサンブリア大学太陽・宇宙物理学グループのトム・スタラード教授(惑星天文学)は「今年12月の夜空で木星が明るく見えるのは、この1年間で最も地球に接近しているためだ」と説明する。
外惑星である木星が地球に最接近するのは、木星が地球を挟んで太陽と正反対の位置にくる「衝」のタイミングであり、このとき木星は地球から見て最も明るく輝く。次の衝は2026年1月10日に訪れる。「木星の公転周期は約12年で、地球よりはるかに長い。したがって地球が太陽を1年かけて1周する間に、木星は約12分の1周しか進まない」(スタラード教授)



