宇宙

2025.12.12 16:00

東の空に輝く「クリスマスの星」 12月の夜空をひときわ明るく照らす、その正体は?

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木星の公転周期は11.86年なので、木星と地球と太陽が一直線に並ぶ位置関係となる周期(会合周期)は約13カ月間に一度となる。「木星の衝、すなわち木星と地球の最接近は、毎年約1カ月ずつ遅れてやってくる」とスタラード教授は語った。「次の衝は2026年1月、その次は2027年2月だ。光は球状に拡散していくため、距離が離れれば明るさは減衰する。つまり、木星が地球から遠ざかるほど私たちの目に見える光は弱くなる」

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「ベツレヘムの星」は木星だったのか

木星の衝が13カ月周期の現象である事実と、夜空での木星の見え方が日々変化することは当時の人々も知っていたと考えられる点から、木星が「ベツレヘムの星」である可能性は天文学的にはほぼ否定される。

「今年12月の木星の明るさは『ベツレヘムの星』のような出来事とは一致しない」とスタラード教授は指摘。「当時(帝政ローマ時代)の天文学者は、(ローマ神話の神にちなんで名付けた)木星の夜空における位置を理解していたはずであり、明るさが少しばかり増したところで驚きはしなかっただろう」と述べた。

天文学的考察──「ベツレヘムの星」の正体は?

いわゆる「クリスマスの星」の正体が何だったのかをめぐっては、彗星や超新星の突発的な出現がまず挙げられる。また、木星と土星が地球から見て非常に大接近して見える「合(ごう)」(大会合=Great Conjunction)だったとする説もある。キリストが誕生したとされる紀元前7年には、木星と土星の合が3回もあった。米天文雑誌『アストロノミー』ウェブ版によれば、この説の提唱者は17世紀の天文学者ヨハネス・ケプラーである。

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もうひとつ候補として考えられるのは、おおいぬ座の1等星シリウスだ。太陽からわずか8.6光年の距離にある連星系で、夜空で最も明るい恒星として知られている。今月は日没の約4時間後に昇ってきて、オリオン座の星々より明るいマイナス1.4等級の輝きを放つ。

おおいぬ座の1等星シリウス。シベリア・アルタイ共和国を流れるカトゥニ川の岸辺で(Shutterstock.com)
おおいぬ座の1等星シリウス。シベリア・アルタイ共和国を流れるカトゥニ川の岸辺で(Shutterstock.com)

青みがかった白色の光が瞬くように見えるのが特徴で、これはシリウスが地球に近く、北半球の中緯度地域から見ると高度が低いため地球大気の揺らぎの影響を受けやすいからである。

forbes.com原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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