北米

2025.12.10 08:30

米国の求人数、10月は767万件で5カ月ぶりの高水準に 採用は減速

Al Drago/Getty Images

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米国における10月の求人件数は5カ月ぶりの高水準となった。これは米国時間12月9日に公表された遅延データによるもので、ここ数カ月、米連邦準備制度理事会(FRB)の当局者が労働市場の冷え込みに警告を発してきた中での動きである。

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労働統計局(BLS)によれば、10月の求人件数は767万件となり、直近の利用可能データである8月の720万件を大きく上回り、5月(776万件)以来の高水準となった。

BLSはまた、単月での発表が中止されていた9月の求人件数が765万8000件であったと報告し、ダウ・ジョーンズがまとめた市場予想の720万件を上回った。

10月のレイオフ件数は185万件に跳ね上がり、2023年初頭以来の高水準となった。一方、採用件数は9月から21万8000件減少し、515万件となった。

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今回のBLSによる報告は、11月にインディードが公表した別のデータとは矛盾する。同社は、10月の雇用機会が2021年2月以来の最低水準に落ち込んだと報告した。FRBのリサ・クック理事はインディードの報告を引用し、政府閉鎖によりFRBは重要な経済データを分析できなかったとした上で、採用数が減速しており、労働市場には「懸念すべき理由がある」と述べていた。

10月、業種別で最も求人が増加したのは小売業で、9月比で14万2000件の増加となった。続いて卸売(5万2000件)、医療(4万9000件)、運輸・倉庫・公益(4万4000件)が続いた。

同月に解雇の増加が最も大きかったのはレジャー・ホスピタリティで、11万7000件の解雇となった。また、教育関連を除く州・地方政府でも2万3000件の解雇が増加した。

政府閉鎖の影響で、求人や労働移動などの複数の経済報告が遅延または中止された。FRBは経済状況の把握のため、代替データに依存せざるを得なかった。そして、そうした代替データであるADPやインディード、証券会社の見通しなどは、ここ数カ月の労働市場が悪化していることを示している。民間給与処理会社のADPは12月初め、11月の民間部門の雇用者数は3万2000件減少したと発表した。これは単月の減少数としては2023年以来で最大であり、同社は10月に企業が「苦戦した」と警告していた。

FRBは、こうしたデータが利下げの理由になり得るとみており、ニューヨーク連銀のジョン・ウィリアムズ総裁は、インフレリスクが「いくぶん和らぎ」、注視の対象が労働市場へシフトしつつあるとして、「近い将来」に利下げの余地があると述べた。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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