北米

2025.12.10 08:00

トランプがエヌビディア「H200」半導体の輸出を許可、株価は下落で反応

Andrew Harnik/Getty Images

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米国の主要半導体メーカーの株価は現地時間12月9日の取引開始後に下落した。ドナルド・トランプ大統領が、これまで輸出が制限されていた高度なAI向け半導体を、中国を含む他国へ輸出することを許可すると発表したためだ。米国政府はその販売額の25%を受け取ることになる。

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エヌビディアの株価は9日朝の取引開始直後に約0.4%安の約184.60ドルとなり、前日の1.7%高、およびプレマーケットでの上昇とは対照的な動きとなった。

今回のエヌビディア株の下落は、半導体輸出規制に関する政府の発表を受けたものだ。この発表は同社が提供するH200に言及している。H200はエヌビディアにとって2番目に高度なAIチップであり、バイデン政権はその輸出を制限していた。

トランプは、緩和された輸出規制がAMD、インテル、そして「その他の偉大な米国企業」にも適用されると述べた。

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AMDの株価は0.7%安の約219.50ドルとなった一方、インテルの株価は約0.3%高となった。

トランプはトゥルース・ソーシャル上でこの発表を行い、「中国の習主席に対し、米国がエヌビディアのH200を、中国およびその他の承認された国に対して輸出することを許可する、と伝えた」と述べた。ただし、この国家安全保障に関する条件の詳細は特に示されなかった。しかしトランプによれば、習はこれに「前向き」に反応したという。大統領はさらに、「商務省が詳細を最終調整中であり、同じ方針がAMD、インテル、その他の偉大な米国企業にも適用される」と付け加えた。

H200は、エヌビディアのHopperファミリーに属するデータセンター向け最先端GPUであり、AIモデルの学習や運用に使用される。しかし、この半導体はすでに次世代のBlackwellファミリーに置き換えられつつある。バイデン政権が導入し、その後トランプ政権の就任初期にも維持された制限措置により、H200の中国への輸出は制限された。エヌビディアはこれに対応して、性能を落としたH800やH20を設計したが、それらの輸出もまた阻止された。

8月、米国政府はH20を中国に輸出するためのライセンスをエヌビディアに付与し始めたが、中国政府は国内企業に対してこの半導体の使用を警告した。エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは10月に開催した『GPUテクノロジーカンファレンス』でこの点を認め、「中国は、当社による中国への出荷を妨げている(中略)彼らは、現時点ではエヌビディアに来てほしくない、とはっきり示している」と述べた。

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翻訳=江津拓哉

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