進化がカラスの顔認識に味方したのはなぜ?
カラスは社会性の高い鳥で、寿命も長い。野生で15~20年を生きる種もおり、多くは一生をつうじて同じ相手とつがいになる。これはつまり、カラスの生存は、協力し、コミュニケーションをとり、信用できる者とできない者を理解する能力にかかっているということだ。
進化という点から見ると、個々の個体が、対象が敵か味方かを評価しそれを長く記憶しておく能力は、途方もなく大きな進化上の利点になる。
この能力は、いくつかの重要な機能に役立っていると見られる。
1. 脅威を避ける:カラスにはタカ、フクロウといった捕食者がおり、歴史的に見るとヒトも捕食者だ。その点で、危険な捕食者を認識し、ほかのカラスに警告することを学習すれば、集団全体の生存確率が上がる。
2. 社会的な協調をこなす:カラスの集団には、複雑な社会階層があり、個体を認識することは、協調を維持するのに役立つ。カラスは、食べものを分けあう相手と、競いあう相手を記憶できる。
3. 協力的な家族単位で子を育てる:カラスの種の多くは共同繁殖をし、兄弟や親族が助けあって、ともにひなを育てる。そのため、そうしたシステムの基盤となる個体の識別は重要だ。


