経営・戦略

2025.12.08 11:53

競争優位を築くテクノロジー:システムを戦略的武器に転換する

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コリー・マクニーリー氏はUHYコンサルティングのマネージングディレクターである。

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歴史的に、IT部門は組織のサポート機能として見られてきた—システムを稼働させ、維持する部門だ。しかし、過去10年で大きな変化が起きている:IT部門は今や経営陣のテーブルに席を得るようになった。

CEOやCFOは、効果的かつ効率的に成長するためには、堅固なデジタル基盤が必要だと認識している。経営陣はこれらの能力を直接的な収益成長に結びつけ、ITの俊敏性がビジネスを拡大する新しく革新的な方法を推進する上で中心的な役割を果たすようになっている。

静的なシステムから進化するプラットフォームへ

多くの場合、組織内のシステムは静的なものだと思われがちだ。インストールして、あとは維持するだけ。しかし実際には、現代のプラットフォームは絶えず進化している。アップグレードは毎月、四半期ごと、または年に一度行われ、その都度調整が必要になる。

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テクノロジーは静止したままではなく、ビジネスとともに成長する。こうした進歩の背後にある主な焦点は、クリーンで正確なデータを持つことだ。データはすでにかなり前から商品となっており、データを効果的に活用している企業は、それを使って戦略的で十分な情報に基づいた意思決定を行っている。

例えば、我々は中堅の製造業者と協力し、ERPデータをCRMデータと連携させて分析を支援し、販売傾向を理解した。数カ月以内に予測が正常化し始め、商業戦略の推進に役立った。これは、システムが単に稼働しているだけでなく、相互に連携している場合に得られる洞察の一例だ。

クリーンで実用的なデータの価値

テクノロジーは組織内の共有サービスとして、文化の一部として扱われるべきだ。ビジネスユーザーがテクノロジーを自分たち自身のツールキットの一部として見始めた瞬間に、その文化は急速に変化する。それが起これば、連携が続く。

しかし、テクノロジーに関してよく出てくる大きな課題の一つがガバナンスだ。クリーンで実用的なデータに焦点を当てたガバナンス構造を持つことで、システム全体の価値が高まる。データがクリーンで正確であることを確認するために、組織はデータ品質に関連するKPIを開発すべきだ。

データ品質は非常に重要だ。データは通貨であり、戦略に直接結びついている。データが信頼できなかったり、システム間でサイロ化されていたりすると、レポーティングやKPIの開発が非常に困難になる。一方、システムが完全に統合され、シームレスにコミュニケーションを取れば、ドメインの完全なビューを得ることができる。それが真の競争優位だ。

設定可能なシステムが柔軟性を生み出す

企業はカスタマイズではなく、高レベルの設定可能性を持つシステムに焦点を当てるべきだ。カスタマイズはオーバーヘッドを増加させ、継続的なサポートを必要とするが、ツールがビジネスのニーズに合わせて設定可能であれば、より強力なシステムエコシステムが得られる。それは、維持するための追加リソースや、変化するビジネス目標をサポートするための継続的な修正に依存しないシステムだ。

設定可能性は柔軟性を生み出す。何かが変わるたびに再構築することなく、素早く調整することができる。それがシステムを長期的に俊敏で持続可能なものにする要因だ。

リーダーシップの連携と変更管理の役割

テクノロジーをツールとしてではなく戦略として捉えるシフトを望む企業には、CIOと他のCレベルエグゼクティブ間の強力な連携が必要だ。焦点はテクノロジー自体ではなく、ビジネス成果に置かれなければならない。テクノロジーは戦略のイネーブラーであり、成果をサポートするものだ。

財務リーダーはテクノロジーがどのように機能するかを理解する必要はない。彼らが予測精度や予算編成に取り組んでいるときに、それがどのようにサポートするかを理解するだけでよい。そこに価値が現れる。

しかし、企業がこのような変化を進める中で、変更管理の重要性を過小評価することが多い。組織が新しい運用モデルやシステムに適応するのにかかる時間を過小評価している。テクノロジーを基本的なイネーブラーから真のビジネス戦略へと移行させる際には、変更管理が非常に重要だ。

次の波:AIとクラウド

現在、特に人工知能とクラウドエコシステムを中心に、新しいテクノロジーで大きなトレンドが見られる。組織がテクノロジーを活用して全く新しい方法で戦略を推進できるようにする大きな飛躍が起きている。

テクノロジーと戦略のこの関係は、今後2〜5年でさらに強くなるだろう。戦略はテクノロジーと切り離せないものになる。将来的には、「テクノロジー戦略」について尋ねることはなくなり、それは単に全体的なビジネス戦略の一部となるだろう。

Cレベルのエグゼクティブは、テクノロジーが単なるツールの集まりではないことを認識し始めている。それは戦略的なイネーブラーであり、組織の運営と競争の方法を形作るイノベーションの原動力だ。

システムを戦略に変える

システムを戦略に変えるということは、テクノロジーをビジネスを行うためのコストから、ビジネスをどのように、そしてなぜ行うかを定義する能力へと変換することを意味する。

重要なのは最新のプラットフォームや派手な機能を持つことではなく、システムが連携し、データがクリーンに流れ、ビジネスユーザーが得られる洞察を信頼できる環境を構築することだ。

テクノロジーが組織の中核に完全に統合され—誰もがそれを受け入れ、目標や目的と同期し、常に進化している—それはもはやツールではない。代わりに、それは組織の生命線となり、将来の成長をサポートする主要な基盤となる。

これが私たちが向かっている未来だ:テクノロジーと戦略が一体となり、競争優位が持っているシステムではなく、ビジョンを前進させるためにそれらをどれだけうまく活用するかに基づいて構築される未来。

forbes.com 原文

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