また、ハーバード・ビジネス・スクールの研究者らは2024年、「AIコンパニオンは孤独感を軽減する」と題したワーキングペーパーを公表している(ただし、この報告書をまとめるにあたって行われた調査の実施期間は、わずか1週間)。
AIコンパニオンは、孤独感がもたらす即時的な症状を軽減させるかもしれない。だが、それは不適応的コーピング(不健康なストレス対処方法)につながる可能性もある。例えば、ロイターは2025年8月、「若い男性の50%は、人間のパートナーに拒絶されるリスクを冒すよりも、AI彼女とデートする方がいいと考えている」と報じている。
こうした男性たちの中には、リアルな関係が孤独感につながる危険性を避けるために、AIコンパニオンを利用する可能性が高い人がいるということだ。
やりとり vs つながり
孤独は、その人の愛着スタイルによって感じ方が異なるものだ。つまり、人とのやりとりが多いか少ないかということではなく、本質的な他者とのつながり方と関連している。人とのやりとりが1日に何百回もある人でも、孤独を感じることはある。同様に、1日あたりの人とのやりとりが少なくても、それらに真のつながりを感じている人もいるだろう。
AIコンパニオンの利用について考えるとき、人との「やりとり」と「つながり」の違いは、重要な要素だ。社会的交流が少ないことは孤独感を生む可能性がある一方、そうした人とのやりとりは、「つながり」ではない。米疾病対策センター(CDC)は2024年5月に公表した「社会的つながり」に関するレポートで、社会的つながりは安定した人間関係によって得られる帰属意識をもたすものであり、それは精神的にも実質的にも支えになるものだと述べている。
また、社会的つながりは心身の健康のために不可欠なものであり、そうしたつながりが強い人は、健康寿命も実際の寿命も、より長くなる傾向があると論じている。
ハーバード・ヘルス・レターに2024年に掲載された記事は、(セレブリティや有名なアスリートなど)人とのパラソーシャルな関係が即座にもたらすメリット、気晴らしや刺激、学び、短期的な慰めなどについて説明している。そして、そうした関係にはメリットがある一方、過度に依存するようになれば、孤独感や孤立感がさらに増す可能性があること、不健全な思考を持つようになれば、悪影響が出る可能性があることを指摘している。
擬人化AIとのパラソーシャルな関係にも、同様のデメリットがあると考えられる。

