学ぶほど、知識が増えるほど動けなくなる——。SNS総フォロワー20万人を超える読書インフルエンサー・土肥優扶馬氏が「賢者病」と名づけたこの現象には、「理想肥大」「情報飽和」「自己効力低下」という3つの見えないブレーキが働いている。
今回は、そのひとつである「情報飽和ブレーキ」に焦点を当てる。やりたいことは決まっている。目標も現実的。それなのに「もっと良い方法があるかもしれない」と調べ続けて、結局何も始められない。情報を集めるほど選択できなくなるのはなぜか。心理学が解き明かす、行動を阻むメカニズムと処方箋を、『賢者病 考えすぎて動けないがなくなる本』(サンマーク出版)から一部抜粋、再構成してお届けする。
「もっと調べなければ」という思いが、選択を困難にする
あなたは、NetflixやAmazon Prime Videoなどの動画配信サービスを利用したことはありますか?
「時間もあるし、何か観ようかな」とアプリを開いたのはいいものの、新着の作品、ランキング、海外ドラマ、懐かしの作品など、観たい作品を探しているうちに疲れてしまい、結局何も観ずにアプリを閉じてしまった経験はないでしょうか?
動画配信サービスでは、数千から数万本もの作品が配信され、その数は日々増え続けています。
これほどまでに安価で大量に映像作品に触れられるようになった時代は過去にありません。
今、僕たちは人類史上最も「情報に恵まれた時代」を生きています。
YouTubeには、毎分500時間以上の動画がアップロードされ、Googleでは1日に85億回もの検索が行われているといわれています。
そんな情報の海の中に、僕たちは毎日飛び込んでいるのです。
しかし、この「恵まれた環境」が、皮肉にも僕たちを動けなくさせる原因にもなっています。



