コロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授が行った、有名な実験があります。
スーパーで、「24種類のジャム」を並べた売り場と、「6種類のジャム」を並べた売り場を作り、それぞれの売り上げを比較しました。
結果は意外なものでした。
24種類の売り場の方が多くの人が足を止めたものの、実際に購入した人はほとんどいませんでした。
一方で、6種類だけの売り場では、じっくりと選んで購入する人が約10倍も多かったのです。
この現象は、「選択のパラドックス」と呼ばれています。
情報が多すぎて行動が止まってしまう
選択肢が多いと、お得に感じるようでいて実は、人の心に「決められないストレス」を生んでしまうのです。
動画配信サービスで観たい動画を決められず時間だけが過ぎてしまう現象も、まさにこの「選択のパラドックス」が起こっています。
これこそが、情報が多すぎて行動が止まってしまう「情報飽和ブレーキ」の正体です。
この現象は、ジャムの購入のように日常の小さな場面に限った話ではありません。
もっと大きな人生の選択でも、同じことが起きています。
■ 副業を始めたい人が3か月間毎日2時間情報収集をしたのに、結局何も始められない
■ 転職を考えている人が求人サイトを見続け、業界研究を重ねているのに、応募ボタンを押せずにいる
■ 資格取得を目指している人がどの教材が良いかを調べ続けて、肝心の勉強を始められない
これらはすべて情報飽和ブレーキの典型例です。
そして恐ろしいことに、当事者は「準備をしている」「学習している」と感じているため、自分が停滞していることに気づきにくいのです。


