ヒット商品のOSを共創する
だが、解は「全部自前」でやることではない。外部企業と共創し、生活者の声と行動データを取り込みながら、企画(Plan)→デビュー(Debut)→拡販(Growth)の一連を反復できるような、新時代における“勝利の方程式”をどう組めるかが重要になってくる。例えば、カジュアル衣料品や雑貨を手がけるアダストリアを傘下にもつアンドエスティHDは最近、自社ブランドの成長で得たデータや運用ノウハウを他社にも開放し、ファッション領域の共創プラットフォーム化に踏み出した。手前みそだが、マクアケも新商品トレンドや顧客インサイトを可視化する「Makuakeインサイト」というサービスの提供を開始している。「3つの大」を揃える体力がなくても、生活者に近くに立ち、素早く学び、新たなヒット商品のOSを共創できる世の中になりつつあるのだ。
これからの日本が直面するのは、労働人口の減少による採用難だ。だからこそ、少数精鋭で回せるプロセスの構築と、外部との分業や共創が要になる。システムとAIを活用して省人化運用を徹底し、小さくつくって早く学び、当たった芽に資源を集中的投下する。量の勝負ではなく、人手を増やさずに学習を加速する勝ち筋をもつ。そういった企業こそが、多様性あふれる社会を豊かにするヒーローになれる。
なかやま・りょうたろう◎マクアケ代表取締役社長。サイバーエージェントを経て2013年にマクアケを創業し、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」をリリース。19年12月東証マザーズに上場した。

