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2025.12.02 15:00

2025年、AI分野の取引額ランキング

Nikita John Creagh / Getty Images

AI支出が生み出す相互投資ネットワーク

多くのAI企業は、互いへの一連の投資を通じて、すでに数年にわたり相互に結びついてきた。その起点となったのが、2019年7月にマイクロソフトがOpenAIに対して行った10億ドル(約1550億円)の株式取得である。このパートナーシップはその後拡大し、2023年1月にはマイクロソフトの投資額はおよそ140億ドル(約2.2兆円)に膨らみ、マイクロソフトはOpenAIに対するクラウドコンピューティングサービスの独占提供者となった。

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アマゾンは2023年9月にAnthropicへ最大40億ドル(約6200億円)を投資し、2024年11月にはさらに40億ドル(約6200億円)を追加投資した。これは、グーグルが2023年10月にAnthropicへの20億ドル(約3100億円)のコミットメントを発表し、今年初めにさらに10億ドル(約1556億円)を追加した動きに続くものである。

ソフトバンクは、今年初めに実施されたOpenAIの400億ドル(約6.2兆円)規模の資金調達ラウンドで主要な投資家の1つとなったほか、8月にはエヌビディアに20億ドル(約3100億円)を投じた。エヌビディアはその翌月、インテルとOpenAIに対して、それぞれ50億ドル(約7750億円)と1000億ドル(約15.5兆円)を投資する2件の取引を行った。

複数のエコノミストは、AI企業同士のこうした投資の網が1990年代後半のドットコムバブル期に見られた取引と似通っていると警鐘を鳴らし、企業間で資金が行き交うことで市場が過度に膨らんでいる可能性があると指摘している。

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CoreWeaveの時価総額は、3月の新規株式公開(IPO)以降、複数のパートナーシップに深く組み込まれるなかで急増し、現在はほぼ670億ドル(約10.4兆円)に達している。同社株は過去6カ月で221%上昇している。

他の市場調査機関は、多くのAI投資がいまだ成果を上げていないと警告している。マサチューセッツ工科大学(MIT)の調査によれば、調査対象となった300件のAI開発プロジェクトの95%が、企業側が総額4000億ドル(約62兆円)を投じているにもかかわらず、いまだ利益を生み出していない。

AIバブルは存在するのか

エコノミストらは、AIへの投資の洪水が世界市場を混乱させる恐れがあると警告しており、現在の取引環境を2000年のドットコムクラッシュと同列に見る向きもある。バンク・オブ・アメリカが今月初めに公表した調査結果によると、投資家の約54%がAI関連資産はバブル領域にあると考えており、これはAI関連の株式がハイプによって過度に膨らんでおり、暴落のリスクを抱えていることを示唆している。

シンガポール政府系ファンドGICの最高投資責任者(CIO)であるブライアン・ヨーは、AIスタートアップが記録的な額の資金を調達していると述べ、「AIというラベル」が付いた企業はどこも大幅に過大評価されるだろうと主張した。

フォーブスは、OpenAIのChatGPTやxAIのGrokを含む複数のAIチャットボットに対し、AIバブルが存在するかどうかを尋ねた。GrokとChatGPTはバブルが存在すると示唆し、一方でPerplexityとMicrosoft Copilotは「芽生えつつある」バブルの兆候があるとし、Meta AIとGeminiはバブルの有無は「議論の余地がある」と回答した。

大半のチャットボットは、投資家の熱狂が持続不可能である可能性が高いと指摘する一方で、技術そのものやAI関連製品に問題があるわけではないとも付け加えた。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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