リーダーシップ

2025.12.04 12:30

本物の自信には柔軟性がある──「自分自身に問い直せる」リーダーだけが確実さを高められる

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自信は、リーダーシップにおいて最も称賛される資質の1つだ。自信は、信念や明瞭さ、勇敢さがあることを示すからだ。自信がある人に私たちが信頼を寄せるのは、その人が、自らの方向性を理解しているように見えるからだ。

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しかし自信というものは、それが過信へと凝り固まってしまうと、知らず知らずのうちに、強みから弱みへと姿を変える。つまり、好奇心を制限し、異なる意見を封じ、学びを妨げるものとなってしまう。

多くの組織は、自信のある人を、早い時点で高く評価する。実際、自信たっぷりの人の方が、昇進が早く、より有能だとみなされる。ところが、研究で繰り返し証明されているように、自信と、実際の能力は別物だ。知識が少ない人ほど自らの能力に自信を持つ一方で、知識が豊富な人は注意深くあり続ける現象を描写する、ダニング・クルーガー効果という概念もある。

過信によって、物事に対する見方が狭まる。リーダーがいったん「自分は答えを知っている」と信じるようになると、より良い答えを探すことを止めてしまう。

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成功を収めた企業が、その後の変化に適応できず失敗してしまうケースが多いのはそのためだ。そうした企業のリーダーは、かつての的確さを、永続的なインサイトと誤解する。世界はとっくの昔に変化しているのに、古い戦略に頼り続ける。賢明に思われたことが、硬直へと変わってしまう。

本物の自信には柔軟性がある

本物の自信には柔軟性がある。本当の意味での自信があれば、リーダーは、断固とした姿勢で決断を下すと同時に、自分が間違っている可能性を受け入れることができる。しかし多くの職場では、そうした微妙な違いが見過ごされがちだ。自信は、心の在り方というよりもパフォーマンスと化し、その背後で試行錯誤の精神が消滅していっている。

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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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