能力はあっても人間性に問題がある人物を、リーダーにしてもいいのか。スターバックス コーヒー ジャパンやザボディショップでCEOを務めた岩田松雄さんの答えは「ノー」だ。
西郷隆盛の「功ある者には禄を与えよ、徳ある者には地位を与えよ」という言葉を引きながら、岩田さんが語る人材評価の本質とは? 51の考え方にまとめた『新版「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』(サンマーク出版)から一部抜粋、再構成してお届けする。
「能力はあるが、人間性が良くない」部下に注意する
リーダーは、どんな人を評価すればいいのか。ひとつの考え方を、ご紹介しておきたいと思います。
能力が「ある」「ない」を横軸に、人間性(性格)が「良い」「良くない」を縦軸にマトリックスを作ってみてほしいのです。
「能力があって、性格も良い」「性格は良いが、能力はもうひとつ」「能力はあるが、性格が良くない」「能力がないし、性格も良くない」の4つのゾーンができます。
リーダーにとって最もありがたい部下は誰かといえば、もちろん「能力があって、性格も良い」という部下でしょう。では、次にありがたいのは、どのゾーンか。「性格は良いが、能力はもうひとつ」というのは、上司にとってみれば手間がかかるように思えますが、そうでもないのです。なぜなら、得意な部分を見つけて伸ばしてあげればいいからです。むしろ、教育のしがいがあるというものです。
実は最もやっかいなのは、「能力はあるが、性格が良くない」ゾーンなのです。ここに属する部下を持ったときに、リーダーは苦労します。
「結果さえ出していれば、何も文句はないだろ」と平気で言ってきたりする。協調性もなく、リーダーの言うことも聞いてくれない。平気でチームの和を乱してしまったりする。それでも、ちゃんと自分の結果を出している、と自己PRもうまい。
さらに、もっと気をつけなければならないのが、会社のためと言いながら、裏で計算高く保身だけを考えているようなタイプです。



