会社がやろうとしていたことと、まるで逆の結果をもたらすことになってしまったわけです。現場の声を聞かなければわからないことがたくさんある。現場としっかりリレーションを取っていないと見えてこないことがある。
こういうことがあるから、リーダーはしっかり現場に目を向けていなければいけないと改めて思ったのでした。
ライン停止の危機で問題の現場に行ってみたら
もうひとつ、日産自動車時代にこんな出来事がありました。
あるとき、ドアの窓メーカーからの納入が滞り、このままでは自動車生産工場のラインが止まりかねない、という事態になりました。ラインが止まったりすれば、1分100万円ともいわれる大きな損害が出る。そこで窓ガラスを担当するメーカーを見てこい、と私は言われたのでした。
その窓メーカーに行って驚きました。ラインが止まるかもしれない、などという危機感は現場にはまるでなかったのです。一刻も早く窓ガラスを、と日産自動車本社では大騒ぎになっていたのに、驚くべきことに窓メーカーでは出荷にあたって1枚1枚、じっくりと窓ガラスについた指紋を拭き取っていたのでした。後工程で指紋など間違いなくついてしまうのですから、そんな必要はないわけです。それより早く出荷してほしかった。
ところが、日産自動車の厳しい検査がそれを求めていて、指紋がついていたら受け取ってもらえないから、と窓メーカーは言いました。日産自動車のほうがおかしかったのです。余計な作業をさせていたことが、結果的に自分たちにラインストップの危機として降りかかってしまったのです。
実際に現場に行かなければ、現場を重視しなければ、現場の味方をしなければ見えてこないことが数多くある。リーダーは、それを肝に銘じておかないといけません。
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