スターバックス時代も、お店に行けば「困ったことはないですか?」と常に聞いていました。そうすると、実際に声が上がるのです。電球が切れたのだけれど、と頼んでから1カ月になるのにまだ対応してもらっていない……。そんなことも起こっていたとわかりました。
本社は一所懸命にお店のことを考えてやっているのに、現場に行ったら間違って伝わっていたりもします。だから、伝える努力が必要だし、うまく伝えるための仕組みが不可欠だと思っていました。
会社がせっかく現場のことを考えて施策を打ったり、費用を投下したりしているのに、現場が評価してくれないのでは、大きなマイナスです。何もやっていなくて評価が悪いのも問題ですが、現場のためにいろいろ努力しているのに、現場から評価してもらえないのは、もっと悪いと思います。
◼️現場の声を聞かないと見えないことがある
実際、現場に行き、現場のスタッフと話さなければわからないことがあります。それは、業務のことだけではありません。
ザボディショップ時代、とても頑張ってくれたスタッフを昇格させました。本人も喜んでいました。昇格と同時に契約社員から社員になり、ボーナスも出るようになりました。
ところが、彼女が泣きながら連絡をしてきたのでした。「私は何か悪いことでもしたんでしょうか」と。聞けば、昇格したのに給料が大きく下がってしまった、というのです。契約社員は年俸の12分割ですが、社員になるとボーナスが出ますから単純に12分割ではない。トータルで年収は上がっていたのに、ボーナスがあるために、毎月の見た目の給料は減ってしまっていたのです。
「ボーナスが4カ月分出るから毎月の給料は減ることになりますが、年間を通じたら年俸は上がります」と人事から話をきちんとしておいてくれれば良かったのです。それを怠ったために、頑張ってくれていた社員に大きなショックを与えてしまいました。もちろん人事の責任者に、これからは事前にしっかり説明するようにお願いしました。


