「ドイツ人の朝」は総じて早いです。
私がドイツで学校に通っていたころ、小学校もその後のギムナジウム(大学進学を前提にした教育機関)も「スタートは朝8時」でした。州によっては7時台に授業が始まるところもあります。
ノラさんが勤務していた弁護士事務所も同様に、朝の8時が就業開始時間です。
このように、「朝早く始めて、早く家に帰る」という考え方が、ドイツでは昔から労働者の根底にあるわけです。
朝は頭もスッキリしているので、これは理にかなっていると言えるでしょう。
そして朝早くにスタートするからこそ、キッチンで雑談をするような余裕も生まれるのだと思います。
「雑談=効率が落ちる」とは断言できない
「効率」を考えたら、自分のペースや習慣、例えば朝仕事に入る前に雑談をする、コーヒーを飲むなどといったルーティンは崩さないほうがいい場合もあります。
ヨーロッパではそういう行為を咎める人はまずいません。
日本の会社も近年はだいぶ多様化してきましたが、業種によっては「黙々とパソコンに向かっていないと仕事をしていると思われない」「席を立ったり雑談が多い人は、仕事向きではなく遊び向き」ととらえられる風潮はまだまだあるような気がします。
「国と国の文化の違い」だと言ってしまえばそれまでですが、2023年にドイツ人が日本人をGDPで追い抜いたことを考えると、「雑談=効率が落ちる」とも言い切れなさそうです。
さて「昨晩にかかってきた顧客からの電話」に翌日の午前中に折り返す仕事を終えてから、ノラさんは時間が迫っているタスクから先に処理します。
その際に常に意識しているのは、夕方になる前、なるべく昼間のうちに「連絡作業」をすませるということ。
「社員であっても、『昼間しか働いていない人』が私の弁護士事務所にもいたし、顧客の企業の担当者にもいた。だからメールや電話などの連絡作業は『短い時間しか働いていない人』もリアルタイムで届くように、私が午前中のうちにおこなう必要がある」
そして、「午前中はやっぱり貴重」とノラさんは言います。
「先ほど話した一連の作業が終わったら、集中力が途切れない午前中のうちに難しい裁判資料を読んだり、税法に関する資料を読んだりするの。理解力が求められるものだから、やっぱり午前中の集中力が落ちていない時間のうちに読み始めるのが一番」
こういったことなど、興味深い話だと思います。
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