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2025.11.29 09:00

今後の世界のあり方に重大な影響、米中AI競争の現在地

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米国では、ベンチャーキャピタル(VC)投資の集中化が進んできている。調査会社ピッチブックのまとめによると、今年のAI関連取引総額の40%超は資金調達額で上位10社によるものが占めており、オープンAI、アンソロピック、xAI(エックスエーアイ)の3社だけで8月末までに計500億ドル(約7兆8000億円)超を調達している。ごく少数のプレイヤーに巨額の資金が流れ込んでいる。

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筆者がCEOを務めるUSグローバル・インベスターズも、AI向け半導体やサイバーセキュリティープラットフォーム分野の数社に投資しており、計算能力の導入には引き続き強い勢いがみられる。とはいえ、競争が激化しているのは間違いない。

発電能力の拡張競争

ご存じのとおり、大規模言語モデル(LLM)の訓練は莫大な電力を消費し、データセンターは多くの電力会社の対応が追いつかないほどのペースで次々に建設されている。

米国には世界のデータセンターのほぼ半分が立地し、その数は現在4000カ所を超える。2位の英国(500カ所強)とも大きな開きがある。中国は現状では400カ所弱で4位だが、AIモデルと同様にこの分野でも追い上げてきている。

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中国が米国を上回りつつある分野もある。電力だ。オープンAIは10月、米科学技術政策局(OSTP)のマイケル・クラツィオス局長に宛てた公開書簡のなかで、米国は電力供給の面で中国に遅れを取りつつあり、これは「まさにその電力以来、最も重要な技術」であるAIでの米国の優位性を脅かしていると警告している。オープンAIは、中国が2024年に新たに導入した発電能力が429ギガワット(GW)にのぼるのに対して、米国は51GWにとどまると指摘している。

筆者はなにも中国の勝利が保証されていると言っているのではない。米国は高性能半導や大規模モデル開発、民間部門のイノベーションではなおリードを保っている。だが、AIのスケール(拡大)では、利用可能な電力とそのコストが決定的な要因になりつつある。エヌビディアのフアンは、AIをスケールさせられるかどうかは電力が左右すると折に触れて述べてきたが、その見方を裏づけるデータが出始めている。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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