「リーダーの習慣」としてパーパスを設計する
最も有能なリーダーはパーパスを、お題目を並べたスピーチではなく、設計の問題として扱う。ゆえに彼らは、パーパスが可視化され、反復可能で、無視しがたいものになるようなシステムや習慣を構築する。こうしたリーダーは、パーパスが絶えず補強しなければ劣化することを知っているからだ。
実際に役立つ習慣の一例は、月ごとの振り返りミーティングだ。ここでチームは、結果だけでなく、妥当性についてもレビューを行なうべきだ。「この仕事は、我々の存在意義にどのように貢献しているか?」と問いかけてみよう。こうした問題意識に基づくやり取りが、チーム全体の意識づけにつながり、焦点を絞り込むことが可能になるはずだ。
もう1つは、ストーリーの語り方だ。リーダーは、部下の仕事を、実世界に及ぼす影響と結びつけるようなストーリーを語るべきだ。ストーリーを語る行為は、演出ではない。理解の道筋をつけるための手法だ。ストーリーは、「あらゆる数字の裏には、人間の力がある」ということを、部下に対して改めて教える手段になる。
最後に、リーダーは、自らのメッセージを率先して実行しなければならない。言行不一致の状況では、パーパスは生き長らえることはできない。リーダーが称賛するもの、見過ごしているものがあれば、部下はそれに気づくものだ。上司の言葉と行動が一致している様子を目にしていれば、部下もコミットする形でこれに応える。逆に、矛盾があるとみなせば、非協力的な態度に転じるだろう。
パーパスは、オフサイトミーティングで「発見」されたり、コンサルタントに起草してもらったりする必要はない。むしろ、日々の意思決定や、発信される言葉、物事が予定通りに行かなかった時のリーダーのふるまいなどを通じて実践されるべきものだ。
もはや問題は、あなたが働く会社にパーパスがあるかどうか、という点ではない。重要なのは、社内の壁に貼られたポスターを読まなくても、誰もがパーパスを意識できる状態になっているかどうかだ。


