製薬大手ノボ・ノルディスクは、オゼンピックの有効成分を用いたアルツハイマー病の進行に関する長期試験について、主要目標を達成できなかったと発表した。それを受け、同社の株価は米国時間11月24日の朝に2021年7月以来の安値へと急落した。
デンマークのナスダック・コペンハーゲンおよびニューヨーク証券取引所に上場するノボ・ノルディスク株は一時約12%安となり、その後やや持ち直して273.35クローネの値をつけたが、依然として約10.3%安となっている。
ノボ・ノルディスクはプレスリリースで、同社が製造する糖尿病治療薬オゼンピックの有効成分であるセマグルチドがアルツハイマー病の進行に及ぼす影響を調べた2つの大規模試験(3808人の成人を対象)について、主要目標を達成できなかったと述べた。
同社によれば、認知機能評価の結果、セマグルチドを投与された患者は、プラセボ(偽薬)と比較して病気の進行に有意な遅延が認められなかった。
この薬はアルツハイマー病の進行を遅らせることには失敗したが、「両試験でアルツハイマー病に関連するバイオマーカーの改善を示した」とされる。
同試験は、アルツハイマー病による軽度認知障害または軽度認知症を抱える55歳から85歳の患者を対象に実施された。
ノボ・ノルディスクは、計画されていた1年の延長試験を中止するとしている。
ノボ・ノルディスクの株価は年初来で57.2%安となっている。また、2024年6月に記録した1000クローネのピークからは72%超の下落となる。
アナリストは同社のアルツハイマー病試験を成功の可能性が低いものとみており、同社の製品・ポートフォリオ戦略担当エグゼクティブバイスプレジデントのルドヴィック・ヘルフゴットもロイターに対し、「これは宝くじのようなもので、非常に不確実だという点は常に強調してきた」と述べていた。UBSのアナリストはこの試験に懐疑的であり、その成功確率を10%と評価し、モルガン・スタンレーのアナリストも成功確率を25%としていた。
同社の最高科学責任者で研究開発担当エグゼクティブバイスプレジデントのマーティン・ホルスト・ラングは、「アルツハイマー病における極めて大きな未充足ニーズと、複数の示唆的なデータポイントを踏まえ、成功の可能性は低くともセマグルチドの可能性を探る責任があると感じていた」と述べた。
また、「セマグルチドはアルツハイマー病の進行を遅らせる効果を示さなかったものの、セマグルチドを支持する膨大なエビデンスは、2型糖尿病、肥満、関連する併存疾患を抱える人々に引き続き利益を提供している」と語った。



