31. Quinta do Bomfim(キンタ・ド・ボンフィン)
所在地:ポルトガル、ドウロ渓谷ピニャン
キンタ・ド・ボンフィンは、1912年以来シミントン家が所有し、ドウズ・ポートの遺産の拠点となる。テラス状の畑が片岩質の斜面を川沿いに登り、力強く長熟のヴィンテージを生む。歴史的ロッジとセラーには百年の樽が並び、五世代のワイン造りを辿る博物館がある。来訪者はヴィンテージ・ポートやスティルワインを、川を望むパノラマ・テラスで試し、「Vineyards」展で地域の栽培遺産と家族の管理の歴史に触れることができる。
32. Ceretto Aziende Vitivinicole(チェレット・アツィエンデ・ヴィティヴィニコレ)
所在地:イタリア、ピエモンテ
チェレット・アツィエンデ・ヴィティヴィニコレは家族経営で、ランゲ(バローロ、バルバレスコ)とロエーロに計180ヘクタールを展開。ブルナーテやブリッコ・ロッケといった単一畑バローロ、アジリやベルナドットのバルバレスコなど、ピエモンテのテロワールの妙を反映したポートフォリオを持つ。建築面では、畑の中の透明な試飲ドーム「アチーノ」や、ソル・ルウィットとデイヴィッド・トレンメレットが再解釈した1914年築の「バローロの礼拝堂」など、伝統と現代アートの融合を体現する。レランジェのヘーゼルナッツラボを見学し、Moscato d’Asti(モスカート・ダスティ)を味わい、チェレットと三つ星シェフ、エンリコ・クリッパが共に創り上げたピエモンテ初の三つ星レストラン「Piazza Duomo」で食事できる。
33. Nyetimber(ナイティンバー)
所在地:イングランド、ウェストサセックス
ナイティンバーは、イングランドを代表するスパークリングの造り手の一つ。1988年にシャンパーニュの伝統品種が植えられ、現在はウェストサセックス、ハンプシャー、ケントに広がる。すべてのブドウは自社栽培・手摘みで、伝統方式で長期熟成させる。醸造責任者シェリー・スプリッグスは、シャンパーニュ以外で初のIWC「Sparkling Winemaker of the Year」を受賞。クラシック・キュヴェ、ブラン・ド・ブラン、ティリントン・シングル・ヴィンヤードなどを造る。ドローンを用いた精密栽培や、土壌改良と農薬削減に寄与する羊放牧の被覆作物など、サステナビリティが運営を支える。
34. Château d'Esclans(シャトー・デスクラン)
所在地:フランス、プロヴァンス
シャトー・デスクランは、ゴルジュ・ド・ペナフォール近くの高地に位置し、世界的ロゼ「ウィスパリング・エンジェル」を生み出した農園。2006年にサシャ・リシーヌが取得。かつてプロヴァンス伯の居城であったシャトーが、ロゼ・ルネサンスに火を付け、ロック・エンジェル、レ・クラン、ギャリュスなどのポートフォリオを展開。現在はLVMHが筆頭株主。19世紀の建築と現代醸造を融合し、鮮度を守るため日の出の収穫を行う。セラー見学や地中海式庭園の散策、ロゼの進化を辿るガイド試飲を楽しめる。
35. Champagne Billecart-Salmon(シャンパーニュ・ビルカール・サルモン)
所在地:フランス、シャンパーニュ
シャンパーニュ・ビルカール・サルモンは、1818年、ニコラ・フランソワ・ビルカールとエリザベト・サルモンが創業。現在も数少ない家族経営のメゾンとして七代目が率いる。40のクリュにまたがる約741エーカーを擁し、精度、フレッシュさ、長期熟成に重点を置く。特に看板キュヴェ「Nicolas François Billecart」(ニコラ・フランソワ・ビルカール)が象徴的。19世紀の本邸やフレンチスタイルの庭園、17世紀と19世紀の白亜質のセラーを見学できる。邸内のエレガントな部屋でのガイド試飲のほか、ハウス裏の有機・ビオディナミ認証の区画クロ・サン=ティレールの訪問も可能。


