人を守るだけではない。北海道ガスは24年に、ガス供給設備の屋外用遠隔監視制御盤の約350カ所へ導入した。盤内の電子機器は熱に弱い。内部を冷却することで故障を防ぎ、ガスの安定供給につながるのだ。
冒頭のUAEの案件を筆頭に海外需要も旺盛で、放射冷却に関する海外大学との共同研究を進めるほか、海外子会社の設立も視野に入れる。「25年度は、本格的にグローバルに出ていく足がかりが整った一年だった」と末光は振り返る。
「暑い」という課題があれば、そこにSPACECOOLの商機が生まれる。創業以来、売り上げは毎年3倍成長させている。「ファーストリテイリングの柳井正さんが、3倍成長していくにはすべてを変えていく必要があると著書で語っていたんです。SPACECOOLも、人員配置から、品質管理、物流まで毎年アップデートしています。従業員に対しては『今年正しかったことが、来年通用しなくなる可能性は大いにある。とにかく3倍成長の意識で変化していこう』と伝えています」(末光)
では26年、どのような変化を迎えるのか。末光に問うと「モノ売りからコト売りへの変化」を挙げた。今の同社のビジネスは、素材の面積に応じた金額で販売する売り切りモデル。新たな事業として準備を進めているのはカーボンクレジットの発行だ。「我々の製品は導入した瞬間から消費電力の削減につながるので、ビジネスになりうる。モノ売りから、脱炭素を売る会社に移行していきたい」
末光真大◎2012年大阪ガス入社。研究所にて光工学の研究開発を立ち上げ博士号取得し、地球温暖化の解決に資する放射冷却素材の開発に着手。2021年にSPACECOOLを設立。大阪ガスを退職のうえ代表取締役CEO兼CTOを務める。


