最近、あらゆる場所で「AIがエントリーレベルの仕事を奪っている」という見出しを目にする。
確かに、この主張には強い現実味がある。しかし、物語にはもうひとつの側面がある。
卒業したばかりの人や新たなキャリアを始めたばかりの人も、この状況に圧倒される必要はない。AIが仕事を自動化している状況でも、経験を積み、キャリアを積み上げていくことは十分可能だからだ。
多くの職種(世界経済フォーラムによれば、最大9300万の仕事が対象)が置き換えられる一方で、新しい職種が生まれ、既存の職務内容も更新されつつある。こうした職種は、ロボットでは代替できない独自の人間的スキルや能力を必要とするため、今日の労働市場でより価値が高まっている。
世界経済フォーラムはまた、2030年までに労働者が持つ中核スキルの39%が変化する必要があると指摘している。
つまり、人間主導かつ人間中心のスキルセットを必要とする役割が強い需要を持つということだ。そして、こうした領域こそ、人間が依然として優位性を持つ仕事になる。
本稿では、これらの「AIに代替されないエントリーレベルの職種」が何であるのかを紹介する。こうした職に就くことで、キャリアの将来性を確保しつつ、ZipRecruiterによると3万3000ドル(約518万円)、Bankrateによると大学卒の場合6万8000ドル(約1068万円)とされる、米国におけるエントリーレベル職の収入の中央値を上回る給与を得られる可能性もある。
エントリーレベル職の未来
AIはエントリーレベル職を完全に消し去るのではなく、むしろそのかたちを作り替えている。
AIツールやAIエージェントがアシスタントやジュニア職の業務(反復的で予測可能な作業が多い)を担うことができるため、エントリーレベル職はその影響を受けやすい。よって、労働市場で存在感を示し、キャリアを前進させるためには、基礎的な技術知識と、より高次の思考力を組み合わせる必要がある。例えば以下のような能力だ。
・クリティカルシンキング
・リーダーシップ
・戦略的で大局的な思考
・AIリテラシー(単なる生成AIの基礎を超え、ワークフローにどう統合し、コスト削減や収益向上に活用するかを理解すること)
こうしたスキルの組み合わせこそ、未来のエントリーレベル職をかたち作るものになる。



