アニメでも大きな動きがあった。コミスマは25年7月、北米のアニメスタートアップらと合弁で、ロサンゼルスにアニメスタジオ「Studio Azuki」を設立すると発表した。
「日米でのアニメ制作費は数倍から10倍近い差があります。アメリカから見ると生産性の点でも制作拠点をグローバルに分散したいし、多様なクリエイターと作品をつくりたい。日本から見るとハリウッドの資金を引き込むことは大きな成長機会になる。ただ、日本のアニメ業界としての接点は限られていた。今回、架け橋となるスタジオの設立をきっかけに、ハリウッドとの環境差を埋めていきます」
日本のコンテンツ産業輸出額はすでに半導体を抜いているが、政府は海外展開を後押しして輸出額を33年に20兆円まで成長させる方針だ。佐藤が見据えるのも、やはり世界である。
「音楽や映画は世界共通のプラットフォームで時間差なく世界中の人が楽しんでいます。アニメはそうなりつつあるし、マンガもその世界観に近づいていく。コミスマの事業も、できるだけ早い段階で日本発グローバルの成功事例といえるレベルまで引き上げていきたい」
佐藤光紀◎2009年セプテーニ・ホールディングス(HD)社長就任。その後、社長直轄の新規事業としてコミスマを設立。24年にセプテーニHDを退任、コミスマをスピンオフし、スタートアップ企業としての経営体制に移行。


