北米

2025.11.20 09:30

バフェットがついにグーグル親会社「アルファベット」に投資、新たな投資姿勢を読み解く

ウォーレン・バフェット(Photo by Leigh Vogel/Getty Images)

その他の銘柄入れ替え状況と、外部機関によるポートフォリオ分析

バークシャーはこの他、チャブ(CB)、ドミノ・ピザ(DPZ)、シリウスXM(SIRI)、レナーA(LEN)、レナーB(LEN/B)、ラマー・アドバタイジング(LAMR)の持ち分を増やした。同社は不動産企業をほとんど保有してこなかったが、第2四半期にラマー・アドバタイジングのクラスA株を購入したことで状況が変わった。ただしラマーは屋外広告の所有・運営が主力で、典型的な不動産会社ではない。

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バークシャーはまた、住宅建設分野ではD.R.ホートン(DHI)の株を手放した一方で、別の住宅建設株を買い増した。同社はアップルとバンク・オブ・アメリカ(BAC)の持ち分も削減した他、ベリサイン(VRSN)、ニューコア(NUE)、ダヴィータ(DVA)も売却を進めた。特にダヴィータに関しては、2024年に結んだ合意により、バークシャーの保有比率が45%を超えた場合、ダヴィータが四半期ごとに自社株を買い戻す取り決めになっている。

米資産運用会社Glenview Trust Companyは、バークシャーのポートフォリオに関する分析結果を公表した。この分析では、今後12カ月の株価収益率(P/E)や株価売上高倍率(P/S)、自己資本利益率(ROE)、企業価値/EBITDA(EV/EBITDA)、株価純資産倍率(P/B)、配当利回り、現在の負債/EBITDA、フリーキャッシュフロー利回り、営業利益率、そして長期(複数年)の1株当たり利益成長率(EPS成長率)の市場コンセンサス見通しが評価指標として用いられた。

総合的に見ると、バークシャーのポートフォリオはS&P500に比べてP/Eが割安でありながら、負債水準はほぼ同じで、ROEではより高い収益力を示している。一方で、今後3〜5年の長期EPS成長率はS&P500より低いと見込まれている。しかし、潤沢なキャッシュを生み出す高品質企業を選好するバフェットの投資姿勢は、ROEの高さや卓越したフリーキャッシュフロー利回りにはっきり表れている。

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株式の売り越しで手元資金が膨張し、自社株買いも停止した背景

バークシャーは第3四半期に、12四半期連続で上場株式を純売り越しにしており、64億ドル(約1兆円)を買い付ける一方で125億ドル(約2兆円)を売却し、純売り越し額は61億ドル(約9577億円)に達した。同社の手元資金は、本業の利益と継続的な株式売却が重なった結果、絶対額でも相対的にも過去に例のない規模へ膨らんでいる。

そんな中、バフェットと側近は、自身の「守備範囲(サークル・オブ・コンピテンス)」に収まり、かつ支払ってよいと判断できる価格で買える魅力的な株を見つけられずにいる。

バークシャーが新たにアルファベット株を購入したことは、バフェットが守備範囲をテクノロジー分野へ広げた兆しとも受け取れる。バフェットはかつて、グーグルを買い逃したことについて、「テクノロジーを十分理解していなかったから、これが競争を制する企業かどうか判断できなかった」と語っていた。今回の購入については、コームズとウェシュラーが主導した可能性が高い。

株価上昇により割安感が薄れ、自社株買いの厳格な基準を満たさず

バークシャーの株価純資産倍率(P/B)は第3四半期の大半で高水準にとどまり、自社株買いは停止された。同社が自社株買いを行うのは「買い戻し価格が保守的に見積もった内在価値を下回ると判断できる場合」に限られるためだ。P/Bは、同社が内在価値を測るうえでの主要な参考指標であり続けている。バークシャーの2024年第1四半期の自社株買いは、おそらくP/B1.4〜1.5倍程度で実施されていた。2025年5月には同社株のP/Bがほぼ1.8倍に達していたため、この四半期に買い戻しが行われなかったのも当然だった。

バークシャー株は、10月末に市場のボラティリティが高まって以降では、S&P500を大きく上回る値動きを見せたものの、年初来リターンでは依然S&P500に及んでいない。現在のP/B1.6倍は、自社株買いには割高だと考えられるものの、同社の莫大な手元資金を踏まえれば、株価が調整した際に大量の自社株買いに踏み切れるため、下落リスクは他の大半の企業よりも小さいといえる。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

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