北米

2025.11.20 09:30

バフェットがついにグーグル親会社「アルファベット」に投資、新たな投資姿勢を読み解く

ウォーレン・バフェット(Photo by Leigh Vogel/Getty Images)

最新ポートフォリオの上位銘柄と、セクター別比率に見る大きな変化

バークシャーの投資ポートフォリオは総額2673億ドル(約42兆円)で、保有銘柄数は前四半期から変わらず41社となった。同社はこの四半期、上場株式を純売り越しにしていた。保有額ベースで上位5銘柄は、アップル(AAPL)、アメリカン・エキスプレス(AXP)、バンク・オブ・アメリカ(BAC)、コカ・コーラ(KO)、シェブロン(CVX)で、上位5銘柄のみで全体の70%を占める。同社の投資ポートフォリオは依然として集中度が高く、上位10銘柄で資産の87%を占めている。

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最大の保有銘柄であるアップル株を削減し、テクノロジーへの偏重が解消

バークシャーは第1四半期にアップル株を動かさなかったものの、第2四半期と第3四半期に再び持ち分を削った。2024年に売却を始める前は、アップル株が上場株ポートフォリオの5割超を占めていたが、約23%に減少した今も、依然として最大の保有銘柄となっている。巨大なアップル株の比率のため、バークシャーのポートフォリオはテクノロジーに偏重していたが、2024年以降の売却でテクノロジーの比重は低下した。

金融セクターが最大資産を占め、エネルギーと消費財への偏重も続く

金融セクターは、第3四半期にバンク・オブ・アメリカ(BAC)株の削減が続いたにもかかわらず、依然として資産の41%を占める最大のオーバーウエイトだ。上位銘柄のコカ・コーラに加え、オキシデンタル・ペトロリアム(OXY)やクラフト・ハインツ(KHC)を保有していることにより、バークシャーのポートフォリオはS&P500に比べて消費財とエネルギーに偏っている。同社は、オキシデンタルの発行済株式の26.9%を保有しており、これにシェブロンが加わることでエネルギーセクターの比率が突出して高くなっている。筆者は以前の記事でバークシャーのオキシデンタル株の買い増しの背景について分析していた。

なおバークシャーは、公開市場では公益事業株を一切保有していない。ただ完全子会社の中には、大規模な鉄道事業バーリントン・ノーザン・サンタフェ(BNSF)や、バークシャー・ハザウェイ・エナジー(BHE)を通じた複数の規制対象の公益事業およびパイプライン事業が含まれている。

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新規取得したグーグル株の規模と、ハイテク分野の競合と比較した割安感

バークシャーは第3四半期、新規保有銘柄の1つとしてアルファベット(GOOGL)のクラスA株をポートフォリオに加えた。保有額は43億ドル(約6751億円)に達し、アルファベットは同社にとって10番目に大きな銘柄となった。同社の傘下のグーグルは、インターネット検索で世界最大手であり、収益の大半を広告が占め、YouTubeやGoogle Cloudなど多くの事業を抱えている。同社は人工知能(AI)分野でも積極的で、AIモデル「Gemini(ジェミニ)」はChromeブラウザーや検索機能にすでに統合されている。

アルファベット株は、年初来で46%超上昇しているにもかかわらず、バリュエーションはAI関連のハイテク大手よりも割安で、予想PERは25.5倍と、マイクロソフト(32倍)、ブロードコム(50.8倍)、メタ(21.3倍)、エヌビディア(41.9倍)を下回っている(すべて米国記事掲載時点)。

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翻訳=上田裕資

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