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2025.11.19 12:30

中国の金準備、公表値の2倍以上か 米国に次ぐ規模の可能性

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中国は世界2位の規模の金(ゴールド)準備を密かに築き、米国との“ゴールドギャップ”を急速に縮めているもようだ。

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非公式の推計では中国の金準備高は最大5500トンに達するとされ、これは公式発表(2303.5トン)の2倍以上にあたる。

公式の数字に基づくと、中国は金準備高で現在7位(編集注:3位に国際通貨基金=IMF=を入れた場合。それを除くと6位)だが、豪銀大手オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)銀行による5500トンという推計が正しいとすれば、ドイツ(3350.3トン)を抜いて一気に2位に浮上する。1位の米国の金準備高は8133.5トンとなっている。

未公表の分も含め、中国による金購入は過去3年の金価格急騰の大きな要因となってきた。金価格は米東部時間17日現在1トロイオンス4038ドルと、直近12カ月で54%上昇している。

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中国の金戦略は米ドルへの依存度を下げる取り組みの一環であり、金準備の積み増しはその戦略の一部にすぎない。

中国の“ゴールドラッシュ”関連の動きとしてはほかに、上海黄金交易所(SGE)を中心とした世界水準の金取引拠点の整備や、自国の保険会社による金投資に関する規制の緩和などがある。

米投資ファンド、カーライルのエネルギー経路担当最高戦略責任者であるジェフ・カリーは「中国は脱ドル化戦略の一環で金を買っている」と英紙フィナンシャル・タイムズにコメントしている。

ANZ銀行はリポートでのなかで、中国は金市場で活動を拡大していると解説し、具体的な行動として金準備の積み上げや金取引インフラの強化、中国の金市場への国内外からの参加奨励を挙げている。

金の取引拠点化への道

ANZ銀行は同時に、外国の投資家や中央銀行を引き寄せて中国で金を保有してもらうのは容易でないため、中国の金の取引拠点化は漸進的なものになるとの見通しも示している。

ANZ銀行は「中国による金の探求」と題したリポートで「中国は金の世界最大の生産国にして消費国だ」と紹介したうえで、以下のように書いている。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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