北米

2025.11.21 09:00

年末年始の旅行計画を縮小する高所得層が増加 米国

Inspiration GP/Shutterstock

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高所得層の米国人が年末年始の旅行費を削減しようとしていることが、複数の報告書から明らかになった。これは、富裕層の利用者に過度に依存するようになった航空会社にとって、脅威となる可能性がある。

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消費者データ分析企業コンシューマーエッジのマイケル・ガンサー副社長はフォーブスの取材に対し、10月に発生した支出を前月と比較すると、「年収15万ドル(約2300万円)を超える高所得層を除くすべての所得層で、航空券予約の前年比伸び率が改善した」と説明した。一方、年収15万ドル以上の高所得層による航空券のクレジットカード利用額は、5月以降減少傾向にある。米会計大手デロイトの調査によると、年収10万ドル(約1600万円)以上の米国人の約8割が、今年の年末年始の旅行計画を縮小する意向を示していた。

なぜ航空会社は富裕層の利用者に依存するのか?

大手航空会社は近年、既存機体の改造と新型機の導入により、プレミアムエコノミー席の増設に多額の投資をしてきた。米デルタ航空は第3四半期決算発表で、グレン・ハウエンシュタイン社長が投資家に対し、改修済み航空機はプレミアムクラスの「恐らく25~30%」を占め、新規発注機は「工場出荷時にプレミアムクラスの比率を高めている」と説明した。

航空会社は、新型コロナウイルス流行後の高級志向の旅行需要の急増を根拠に投資判断を行った。この分野は2023~24年、さらには25年にかけて堅調に推移するとみられていた。25年の決算発表で、米国の大手航空会社は一貫して、不透明な経済情勢によりエコノミークラスの需要が大幅に弱まった一方で、プレミアムクラスの需要は堅調に推移していると説明していた。米ユナイテッド航空は第3四半期決算発表で、アンドルー・ノセラ最高商業責任者(CCO)が、プレミアム収益が前年比6%増加し、プレミアムクラスの「PRASM(利用可能座席1マイル当たりの旅客収益)」がエコノミークラスを5ポイント上回ったと報告した。

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翻訳・編集=安藤清香

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