富裕層の旅行支出抑制がなぜ航空会社に打撃を与えるのか?
デロイトやコンシューマーエッジなどのデータでは、プレミアムクラスへの需要が減少し始めていることが示されている。プレミアムエコノミーはエコノミーの2倍の料金がかかることもあるが、ビジネスクラスよりは低価格で、足元の空間が広く、座席も幅があるなど、快適性が重視されている。プレミアムエコノミーは富裕層の旅行者とビジネスでの利用者の双方を引きつけているが、ここへ来て、高所得層の旅行者が経済的に圧迫され始めている兆候が見られる。
デロイトの調査によると、11月下旬から1月中旬にかけて旅行を計画している米国人は54%に上り、前年同期比5%増となった。だが、支出額は前年を下回る見通しで、多くの人が飛行機ではなく車での移動を選択したり、ホテルを予約する代わりに友人や親族宅に滞在したりする傾向にある。旅行を計画している人のうち、休暇期間中に飛行機を利用する予定の人は半数未満(47%)で、昨年の55%から減少した。特に、高所得層で国内線を利用するとした人の割合が63%から53%へと大幅に縮小した。休暇で飛行機を利用するとした人も、平均旅行予算は前年比18%少なく、2334ドル(約36万円)となっている。
ガンサー副社長は、高所得層の航空券予約の伸びは、中所得層や低所得層に比べて依然として堅調を維持しており、2~3ポイント上回っているとしながらも、その勢いは衰えつつあると指摘した。米銀大手バンク・オブ・アメリカ(BofA)による年末年始の休暇に関する調査では、回答者の約3分の2に当たる62%が経済的負担を感じていると報告していた。
航空券の販売状況がなぜ消費者心理の指標となるのか?
ガンサー副社長は、航空会社の手数料の大部分は、予約時にクレジットカードやデビットカードの明細に反映されると指摘。これにより航空会社への支出情報は「消費者が自身の財政状況についてどう感じているか」という点で、ホテル支出情報より「はるかに先を見越した指標」となると説明した。


