JPモルガンが発表した報告書によれば、ビリオネアたちは、好ましい資産クラスの1つとしてプロスポーツに目を向けつつある。同報告書は、同社がビリオネアに分類する100人超の顧客の投資状況を調査したもので、富裕層の間でチームオーナーシップが急増している理由として、感情的な魅力と戦略的な投資価値の双方が作用していると述べている。
米国時間11月5日に公開されたJPモルガンの『Principal Discussions』は、平均50億ドル(約7800億円)の資産を持つ111人の富裕層へのインタビューをまとめたもので、その合計資産は約5000億ドル(約77兆5700億円)に達する。
報告書によれば、超富裕層によるスポーツチームの所有は急拡大している。現在、スポーツチームを所有する超富裕層は全体の20%であるが、その数字は2022年時点ではわずか6%にすぎなかった。
さらに、3分の1超がスタジアムやチームへの投資を何らかの形で行っており、この割合はアート(23%)や自動車(10%)といった分野を上回っている。
また、これらの富裕層が今後投資を予定する主要分野は、不動産、テクノロジー、エネルギー、スポーツ、消費者関連セクターの順に並ぶという。
超富裕層がスポーツチームを所有する流れは、この資産クラスの強いパフォーマンスを反映している。米国の主要スポーツフランチャイズは、メディア権利契約、スポンサー拡大、グローバル需要の高まりにより、二桁台の成長を続けている。法務事務所のローブ&ローブによれば、過去30年間におけるトップスポーツチームの投資リターンはS&P500種株価指数を上回っており、スポーツは超富裕層にとって最も安定した長期投資の1つとなっている。
フォーブスのデータによれば、2022年から2025年にかけて、主要スポーツリーグのフランチャイズ評価額は大幅に上昇しており、NBAが先頭に立ち、続いてNFL、MLBが続いている。
NBAの上位5チームは平均92%の上昇を記録し、NBAのロサンゼルス・クリッパーズが最大の伸びを示した。同チームの評価額は33億ドル(約5100億円)から75億ドル(約1兆1600億円)へと跳ね上がり、127%の増加となった。これに続くゴールデンステート・ウォリアーズは56億ドル(約8700億円)から110億ドル(約1兆7100億円)へと96%の上昇を見せ、上位5チームで最も低い伸びだったニューヨーク・ニックスでさえ、68%増の95億7000万ドル(約1兆4847億円)に達した。
NFLでは、上位5チームが平均で61%増となった。その成長を牽引したのはロサンゼルス・ラムズとニューヨーク・ジャイアンツで、それぞれ40億ドル(約6200億円)超の上昇を見せた。MLBの上位チームは平均32%の増加で、それを牽引するロサンゼルス・ドジャースは27億ドル(約4200億円)の上昇となった。サッカークラブの上位チームはより緩やかな伸びではあるものの、同期間に平均27%増を記録した。



