3. 優秀賞:「パタゴニアのピューマたち(Pumas Of Patagonia)」
映像作家のオリ・テイリラは、「パタゴニアのピューマたち」の中で、私たちをチリのトーレス・デル・パイネ国立公園の奥深くへと導く。そこでは、なかなか姿を見せないピューマが、険しい地形のなかを忍び歩いている。一つ一つの映像が、ピューマと地形の関係をとらえ、自然のリズムに対する忍耐と敬意を通じて生存が勝ちとられる領域をあらわにしている。
マウンテンライオンやクーガーとも呼ばれるピューマ(学名:Puma concolor)は、世界屈指の適応力の高さを誇る大型ネコ科動物だ。だがパタゴニアでは、ピューマの自由は、同じ土地を共有する人間たちとの共存にかかっている。かつて牧場経営者による大規模な迫害を受けたピューマは、争いよりも平和なバランスを強調するエコツーリズムと保全活動の連携のおかげで回復し始めている。
テイリラのレンズを通して、ピューマは、精神でも象徴でもある存在になっている──パタゴニアに生きる「野生の魂」の鼓動のような存在だ。


