2. 優秀賞:「エコーズ(Echoes)」
やはりスバールバル諸島でフロリアン・ルドゥーが撮影した「エコーズ」は、視覚を通じて、静寂、レジリエンス、人間と北極との関係を黙想する作品だ。この壮大なスケールの映像は、静けさを「つながり」として、あるいは地球が応答する「間」として体験するよう見る者をいざなう。こうした静かなパワーを通じて「エコーズ」が探求しているのは、人間の足跡が見えない場所でさえ、人類と野生がまだつながりあっている、その在り方だ。
ノルウェー本土と北極点のあいだに位置するスバールバル諸島は、壊れやすさと耐える力の拮抗を体現している。気温の上昇は氷河を解かし、海流を変え、北極の生態系の基礎を脅かしつつある。だが、野生生物は生き延びている。セイウチは薄くなっていく氷の上にのぼり、トナカイは、新たに露出したツンドラで草を食み、海鳥は営巣パターンを順応させている。「エコーズ」は哀歌でもあり、行動を促す警告でもある。


