英イングランドでポール・ケリーの一家が営む農場は、2世代にわたって1羽が最大500ドル(約8万円。1ドル=157円換算)の高値で売られる伝統種ターキー(七面鳥)を販売してきた。その後、同家が運営する「ケリーブロンズ」は、これらターキーを米バージニア州で10年かけて繁殖させた後に、米国の感謝祭市場に本格参入しようとしている。
ターキー本場の米国に伝統的手法が残っていないことに驚き、ビジネスの勝機を見出す
ポール・ケリー(62)は、英タイムズ紙がかつて「ターキーのロールス・ロイス」と評した品種を20年かけて育ててきた。そんな中でケリーはターキー産業の発祥地である米国に渡り、長い経験を持つ専門家から学ぼうと考えた。2003年に渡米しバージニアやウェストバージニア、ノースカロライナ、マサチューセッツ、ペンシルベニアの農場を数週間かけて巡ったものの、もはや「ドライ・プラッキング」と呼ばれる伝統的な製造工程(死後硬直が始まる前の鳥を、湯に漬けずに乾いた状態で羽をむしる手法)を経た鳥を、枝につるして熟成させる家禽農家や精肉業者がいないことに「驚かされた」という。こうした手法こそが、英エセックスを拠点とするケリーブロンズが高く評価されてきた理由だった。
ただし、1ポンド(約450グラム)の冷凍ターキーは1ドル(約157円)ほどで買える。ケリーブロンズのターキーは、同じ重量の1ポンドであれば15ドル(約2355円)、イベント用特大サイズの32ポンド(約14.5キロ)であれば500ドル(約8万円)もの高値で販売されるため、価格以上の価値を示さなければならない。
「イギリス人がターキーをアメリカに持ち込むなんて、馬鹿げた真似かもしれないと思った。でも、そこにはチャンスがあった。調べていくうちに、その規模を大きく広げることに決めた」とケリーは言う。
ケリーは今や、ドライ・プラッキングを経た鳥を、枝につるして熟成させる工程を採用する施設として米国内で唯一、米農務省(USDA)の承認を受けたターキー加工施設のオーナーとなっている。こうした製造プロセスこそが、ターキーの皮をよりパリッと仕上げ、風味を高めると多くの人が信じている。
ブルーリッジ山脈の麓にあるバージニア州クロゼで10年前に約53万平方メートルの土地を購入して以来、ケリーは、米国では久しく建設されてこなかった新設のターキーのヒナの孵化場をオープンさせた。



