——それから男性は共感しにくいという課題。これはどうしたら解決できると思いますか。
奥田:男性も含めて、性ホルモンのゆらぎを恥や我慢ではなく“抱きしめる文化”へ変える、「ホルモンハグプロジェクト」プロジェクトを進めています。
性ホルモンは男女問わず心身に影響が大きいのに、知る機会はないし、性ホルモンに起因するしんどさは人と話しにくい話題でした。自分たちの心身に何が起こるのかを知り、お互いに理解し合って、もっとオープンに、乗り越えるんじゃなくて乗りこなす、相手や自分を優しくハグしてあげるくらい優しくそして重苦しくならずに気楽に話そうぜ、という空気を作っていきたくてプロジェクトを立ち上げました。
月経、妊娠、出産、更年期など、女性の体・性ホルモンの変化からくる健康課題を受け止めるための社会全体の仕組みや理解、そして文化にまだまだ発展の余地があると思います。健康課題を個人の問題だけではなく、社会の課題として再定義したい。
フェムテックの市場は、自分の体調や機嫌の取り方を含めて、体に向き合うことがベースにあって成り立つので、まずはそこからやっていきたいですね。日本人は我慢が美徳であるという文化がまだまだ根強い。男女関係なく、性ホルモンに起因するものはもちろん、それ以外も、自分で自分の体の声を聞いてそれぞれにあったケアやコントロールができる世の中になったら素敵だなと思っています。

おくだ・りょう◎電通 第7マーケティング局 未来シナリオコンサルティング部 ビジネス・クリエイティブ・プロデューサー。カリフォルニア州立大学にてコンピュータサイエンス、音楽ビジネス、コミュニケーションデザインを学ぶ。新卒でアクセンチュアに入社、2010年より電通所属。コンサルティング経験を活かし、ブランドコンサル/マーケティングコンサルを経て、電通の事業開発やクライアントの新規事業を基軸としたプロジェクト設計~実施・伴走など新規事業にまつわるすべてのプロセスをプロデュースしている。専門領域のフェムテックを起点に社会課題解決を企画する電通内の部署横断テーマ特化型チーム“Femtech and BEYOND.”を創設した。


