スポーツ

2025.11.17 15:15

アップル巨額投資のF1が示すスポーツビジネスの未来と日本の課題

提供:鈴鹿サーキット

世界的F1の熱狂から、日本だけが取り残されるのか

F1が成し遂げたこの10年足らずの劇的な変革は、モータースポーツという一つの業界を超え、現代のあらゆるビジネスとマーケティングに対する深遠な問いを投げかけている。しかし、日本市場はこの変革から、取り残されてはいないだろうか。

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F1の本質は、今も昔も「世界最速を競う」こと。だが世界のF1は「クルマ好きの中高年男性」という既存の牙城への安住から脱却。その核を変えることなく、その「魅せ方(コンテンツ)」と「届け方(プラットフォーム)」だけを、時代に合わせアップデート。F1は、自らのコンテンツ(レース)の「裏側」にある人間ドラマ(ストーリー)を切り出し、新しい顧客層との接点を創造。ターゲットを再定義し、エントリーポイントを作り出さなければならないという教訓だろう。

こうして世界を熱狂させるF1に、日本は追従できているのか懸念が募る。26年3月開催、日本GPのチケットが10月発売開始にて即日完売、アストンマーティンとホンダのパートナーシップ発表、角田の奮闘と好材料は多かれど、どういうわけか日本でのF1人気は「燻っている」という心証が拭えない。

地上波オンエアの消滅が、人気停滞の遠因とされる。だがOTT視聴が世界のメインストリームとなる中、日本におけるメディア視聴スタイルが、世界に取り残されているのが、要因ではないと祈りたい。デジタルネイティブが主流となって行く時代において、日本語によるSNS情報発信という「常時接続」のデジタル体験提供には遅れが見られる。日本市場がメディアの変化に取り残されているのが、その理由ではないか。

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コンベンショナルな旧メディアが取り上げるのは、大谷や山本ばかり。世界にわずか20人しかいないF1ドライバーのひとり、角田の奮闘ぶりぐらいが地上波に載る機会は少ない。25年シーズン終盤にかけ、角田の去就も話題となっているが、鈴鹿サーキットでのF1開催契約も29年まで。

F1は24年、過去最高34億ドル(約5100億円)の収入を記録した世界の巨大ビジネスと化している。この巨大ビジネスから日本人ドライバーが姿を消し、日本GPも消滅となれば、それはまた世界の熱狂から取り残されたオワコン日本の悲しい現状を目の当たりにする結果となる。日の丸企業による日本GPのサポートにも、ぜひ期待したいところだ。角田が来季のシートを失った際、それが日本におけるF1ビジネスの終わりの始まりとならぬよう、祈るばかりだ。

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