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2025.11.13 08:30

エヌビディア全売却でソフトバンク株は下落、孫正義は「アジア4位の富豪」に後退

Tomohiro Ohsumi/Getty Images

Tomohiro Ohsumi/Getty Images

ソフトバンクグループの株価は11月12日に急落した。これは同社が、半導体メーカーのエヌビディア株をすべて売却し、その資金をChatGPTを開発するOpenAIなど、AI関連の投資に充てると発表した翌日のことだった。

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12日、ソフトバンクグループ株は日中最大で10%下落し、約1カ月ぶりの安値を記録した。

その後株価は回復したものの、最終的に3.46%安の2万1910円で取引を終えた。0.43%高となった日経平均株価とは対照的だ。ソフトバンクグループが総額300億ドル(約4.6兆円。1ドル=154円換算)を超えるAI投資を進める一方で、市場にはバブル懸念が広まっている。

同社が出資するソフトバンク・ビジョン・ファンド2は、OpenAIに225億ドル(約3.5兆円)を投資する予定であり、さらに半導体メーカーのアンペア・コンピューティングを65億ドル(約1兆円)で、スイスの電気機器メーカーABBのロボティクス部門を54億ドル(約8316億円)で買収する契約にも合意している。

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11日に行われた四半期決算説明会で後藤芳光CFOは、これが「バブルかどうか」については答えられないと述べた。

現在のフォーブスの推計によると、ソフトバンクグループの創業者でCEOである孫正義の推定資産は694億ドル(約10.7兆円)で、11日時点の722億ドル(約11.1兆円)から減少した。この結果、孫はフォーブスの『リアルタイム・ビリオネアリスト』で世界第27位、アジアではインドのゴータム・アダニに次ぐ第4位に後退した。ただし、日本国内では依然として最も裕福な人物である。

11日に公表された決算報告書によると、ソフトバンクグループは10月、保有していた3210万株のエヌビディア株を総額58億3000万ドル(約8978億円)ですべて売却した。同社は、AI企業への「300億ドル(約4.6兆円)を超える投資」を実現するために、この売却が必要だったと説明している。

この発表を受けて、エヌビディア株は米国時間11月11日に約3%下落し、193.16ドルで取引を終えた。

しかし、12日早朝の時間外取引では、エヌビディア株は0.96%高の195ドルとなり、前日の損失を一部取り戻している。この日は他の主要な半導体メーカーの株も上昇しており、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)株は4.86%高の249.07ドル、ブロードコムは0.86%高の355ドルとなった。11日の売りに巻き込まれなかったクアルコムも0.48%上昇し、174.81ドルの値をつけた。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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