暗号資産業界の複合企業「Ripple(リップル)」は、フォートレス・インベストメント・グループとシタデル・セキュリティーズが主導し、パンテラ・キャピタル、ギャラクシー・デジタル、ブレバン・ハワード、マーシャル・ウェイスなどが参加した資金調達ラウンドで、5億ドル(約770億円)を調達した。これにより、同社の評価額は400億ドル(約6兆1600億円)に達した。
リップルは最近、同じ評価額で10億ドル(約1540億円)規模の自社株買いを実施しており、今回のディールはそれに続く動きとなる。これにより、リップル共同創業者のクリス・ラーセンの推定資産額は102億ドル(約1兆5700億円)から138億ドル(約2兆1300億円)へと拡大した。また、CEO(最高経営責任者)のブラッドリー・ガーリングハウスも新たにビリオネアの仲間入りを果たした。ガーリングハウスはリップル株の約6%とXRPを保有し、総資産は約35億ドル(約5390億円)と推定されている。さらに、XRPレジャーの開発者であるアーサー・ブリットもビリオネアとなった。ブロックチェーン分析企業グレイ・ウルフ・アナリティクスの分析によれば、ブリットは少なくとも13億XRPを保有しており、その評価額は約30億ドル(約4620億円)に達する。
リップルは、11月5日の声明で次のように述べている。「今回の5億ドル規模のエクイティ調達は、金融パートナーとの関係を一層強化させることの戦略的意義を踏まえた決定だ。彼らの専門知識は、拡大する当社のグローバルな製品群を支えるものとなる」。
実際のところ、リップルは新たな資金調達を必要としていない。同社は約350億XRPを保有しており、11月5日時点のXRP価格である2.27ドルで換算すると、その評価額は約800億ドル(約12兆3000億円)に達する。これらのトークンはXRP総供給量の30%超を占め、毎月エスクローから解放される。この仕組みは、リップルにとって極めて収益性の高い自己資金調達メカニズムの一つとして機能している。
リップルは当初、XRPをブリッジ通貨と位置づけ、国際決済ネットワーク「SWIFT(スイフト)」に代わる次世代インフラとして送金の効率化を掲げていた。2019年にはマネーグラムとの大型提携を実現するなど注目を集めたものの、利用の拡大には結びつかなかった。その結果、昨年フォーブスが発表した『ゾンビ・ブロックチェーン』リストに名を連ねることとなった。このリストは、普及が限定的で取引収益も乏しいにもかかわらず、過大評価された分散型プロジェクトをリストアップしたものだ。
2020年には米証券取引委員会(SEC)が、リップルによるXRPの販売が未登録証券の取引に当たるとして同社を提訴した。5年に及ぶ法廷闘争は今年8月、リップルが1億2500万ドル(約193億円)の和解金を支払う形で決着した。



