よりよい役職や給与を求めて昇進や転職を目指すキャリアアップ。テレビCMなどでもしきりにキャリアアップのための転職を促しているから、みんなが上を向いて歩いているのかと思いきや、そうではない人もいる。自分の時間を大切にしようと仕事に力を入れすぎない生き方を選ぶ人もそうだ。しかし、それとは別の理由でキャリアに関心を持たない人たち、いやもしかしたら「持てない」人たちもいる。
DMソリューションズが運営するウェブメディア「Collect.」(コレクト)は、20〜50代の男性300人を対象にキャリアアップに関する意識調査を実施した。それによると、キャリアアップしたい人の割合は36パーセントともっとも多く、次に多い「現状維持でいい」を10ポイント近く引き離した。やっぱり多くの人たちは上を目指しているように見える。

ところが、年代別に見ると、若い人ほどその傾向が強く、とくに50代になるとキャリアアップよりも現状維持を望む人が増える。それは、すでにある程度キャリアアップしてきた人たちだと思われる。「もういいや」というところだろうか。

また、独身者はキャリアアップ志向が強く、既婚者は現状維持を望む人のほうが多くなる。既婚者は家庭と仕事のバランスを重視して、安定を求める傾向が強いとコレクトは推測している。

問題なのは年収別の傾向だ。キャリアアップをしたい人たちは、年収が上がるにつれて増える傾向がある。年収が上がるほど、もっともっとと頑張る意欲が湧くのだろうか。それはいいとして、年収400万円未満では、キャリアアップしたい人は大幅に減り、かわりに「とくに考えていない」という人のほうが多くなる。

この人たちは、現状維持すら望まず、仕事のことは考えたくもないという諦めの心境に追いやられているのだとしたら深刻だ。「経済的な余裕がキャリア意識を高める要因のひとつになっていると考えられます」とコレクトは指摘する。もしそうなら、高収入な人はさらに高収入に、そうでない人はずっとそのままという格差が固定化する恐れがある。本人の気持ち次第と言ってしまえばそれまでだが、どうしてこうなったのか、よく考える必要がありそうだ。



