2025.11.13 12:00

専門家が選ぶ「世界で最も美しい集落」ベスト10 2025年版

英国、バイブリーの街並み(Shutterstock.com)

8. コトル(モンテネグロ)

Shutterstock.com
モンテネグロ・コトル(Shutterstock.com)

コトルは、バルカン半島にある国、モンテネグロの西部にある街だ。コトルでは、石と影が交錯する。中世の息遣いが感じられる入り組んだ路地では、野良猫がくつろぎ、聖ニコラス教会など、数百年の歴史を誇る教会の鐘が響く。日差しが降り注ぐコトル湾では、ヴェネツィア時代のファサードやツタに覆われたバルコニーの前を、ヨットが通り過ぎていく。

advertisement

かつてオスマン帝国による包囲から街を守り、いまや廃墟と化したサン・ジョヴァンニ要塞に至るトレイルを登れば、フィヨルドのような入江を超えて、はるか先まで神話のような景色が広がる。眼下では、ヤシの木立が並ぶマリーナが、ワイングラスの乾杯やイカが焼ける音でにぎわい、松葉が香る潮風が夕暮れを吹き抜ける。

9. 白川郷(日本、岐阜県)

Shutterstock.com
日本、岐阜県・白川郷(Shutterstock.com)

深山の静寂に包まれて、白川郷はおとぎ話のようにたたずむ。緑の山肌を背にした茅葺き屋根は、豪雪に備えて急勾配になっている。数百年の歴史をもつ農家の囲炉裏から煙が立ち上り、ぱちぱちと火花が散り、土鍋のなかで味噌が溶けていく。

日中は、鏡面のような水田や苔むした水車を眺めつつ散策し、和田家住宅に立ち寄れば、養蚕設備や、硝石の取引台帳、囲炉裏の火に照らされた立派な仏壇から、江戸時代の暮らしが垣間見える。やがて日が沈むと、提灯が静かな小路を照らし、あたりを薪の煙が満たす。冬に訪れれば、雪の積もったひさしを彩るイルミネーションが、まるで地上にふわりと舞い降りた星のようだ。

advertisement

10. バタッド(フィリピン)

Shutterstock.com
フィリピン・バタッド(Shutterstock.com)

ルソン島北部の山岳地帯(コルディリェーラ・セントラル)には、2000年の歴史をもつ「コルディリェーラの棚田群」があり、バタッド村はその一つだ。急峻な山々の斜面に、棚田が緑の円形劇場のように美しい対称性を描きながら広がっている。

曲がりくねった石畳の道は、イフガオ族の質素な小屋へと続き、羽つきの頭飾りをかぶった年配の人たちが、先祖代々の歌を口ずさみながら脱穀に精を出す。急斜面を下った先のタッピヤ滝は、ごう音をたてながら翡翠色の滝壺へと流れ落ち、地衣類に覆われた大岩を霧が包みこむ。

ジープニー(フィリピンで一般的な小型バス)は、絶景の展望台であるサドルポイントで観光客たちを下ろすので、ここからバタッドまで、斜面を徒歩で下る。サドルポイントを夜明けに訪れれば、黄金色に輝く棚田に長い影が落ち、雄鶏が朝を告げ、トタン屋根のキッチンから薪の煙が立ち上る。この集落に車はなく、足音のほかは静寂そのものだ。

forbes.com 原文

翻訳=的場知之/ガリレオ

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事