チョコが贅沢品になる日「エシカル消費」低認知度の現実

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いつものコンビニで、ふと手に取るチョコレート。その原材料となるカカオ豆の価格が高騰しているという話は、聞いたことがある人も多いだろう。この値上げの背景には、天候不順や病害により収穫量が激減したことが主な要因だが、そのほかにも割に合わないカカオ農家が栽培をやめてしまうケースも増えているためだ。そのため近い将来、チョコレートが贅沢品となり、最悪の場合、手に入らなくなるかもしれない。

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この危機を回避し、持続可能な社会を築くために、今、「エシカル消費」の重要性が高まっている。しかし、その真の意義と行動への結びつきは、まだ社会全体で十分に浸透しているとは言い難い。チョコレートの製造・販売を行っているチョコレートデザインが、このエシカル消費について意識調査を実施し、その結果が公開されている。

そもそも「エシカル消費(Ethical Consumption)」とは、単に価格や機能で商品を選ぶのではなく、人や社会、環境に配慮した消費行動のことだ。そして、その具体的な手段の1つが「フェアトレード」で、開発途上国で作られた製品や原材料を、生産者が自立できるように適正な価格で継続的に購入する仕組みである。

しかし、「エシカル消費」の認知度は約14%に留まっており、人々の認知度は極めて低いことがわかった。一方で、エシカル消費につながる行動をしているか問うたところ、44.8%以上の人が行っていると回答。エシカル消費という言葉は知らなくても、具体的な行動を起こしている人は思った以上にいるのかもしれない。

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ただ、行動を起こさない人の理由として「どの商品がエシカル消費につながるかわからない」「効果や意味がよくわからない」など、商品と社会貢献を結びつける情報の提供が喫緊の課題である。

一方、「フェアトレード」についても、「エコ」や「オーガニック」といったワードの理解度が高い一方で、約40%程度と過半数を下回る認知度だ。

また、カカオショックによるチョコレートの供給不足や値上げについては、約80%の人が問題意識を持っており、フェアトレードを行う企業活動についても、とても好意的だ。「エシカル消費商品」や「フェアトレード商品」の購入意向も約60%と高い水準にある。

この危機的状況を脱するには、消費者が「社会貢献」を感情論ではなく、未来への投資として捉えることだろう。企業側は、自社の活動が「エシカル消費」「フェアトレード」とどうつながるのかを明確かつ具体的に発信し続けるべきであり、消費者は「フェアトレード」を単なるチャリティではなく、持続可能な経済活動を行っていく仕組みとして理解し、日々の消費行動に参加することが重要だ。それが、将来のチョコレート危機に陥らないための重要な一歩となる。

出典:チョコレートデザイン「エシカル消費についての意識調査」より

文=飯島範久

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